今回は、家族信託で、名義人以外の家族(受託者)が直接、財産の管理処分が行えるようになるメリットについて見ていきます。※本連載では、司法書士みそら総合事務所代表・酒井俊行氏の著書、『わかりやすい家族への信託』(すばる舎)から一部を抜粋し、認知症の財務管理対策と相続対策の両方に効果を発揮する「家族信託」の基礎知識をレクチャーします。

本人以外の家族でも、財産の管理・処分ができる

原則、財産はその名義人1人しか管理することができません。そのため、銀行の定期預金を解約する場合には、口座の名義人自身が手続をする必要がありますし、不動産を売却するには不動産の名義人が手続をしなければなりません。

 

家族といえども他人が本人に代わって、これらの手続をすることはできません。

 

喩えるなら、財産管理を個人戦で戦っていたようなもので、個人に万一のこと(認知症により判断能力が低下してしまう)があると、戦い(財産管理)に大きな支障が出てしまうのです。

 

家族信託を利用すれば、戦い方(財産管理の方法)を個人戦から団体戦に変更することができます。

 

本人以外の家族でも財産の管理処分をすることができ、今まで個人で管理していた財産を家族全員で管理するようなイメージになります。(図表参照)

 

[図表]個人戦から団体戦へ

 

受託者に万一のことがあった場合にも…

家族信託によって財産の名義人(委託者)から管理処分を託された、名義人以外の家族(受託者)が直接、財産の管理処分をするようになります。

 

受託者は1人のことが多いと思いますが、受託者を複数人とすることもできますし、受託者に万一のことがあった場合には、次の受託者を誰にするのかをあらかじめ決めておくこともできます。場合によっては、受託者を監督する立場の人(信託監督人)を設定できます。

 

そういった意味でも、家族信託を利用することで、財産管理を個人戦から団体戦にできるのです。団体戦なので、メンバーの1人に万一、何かあっても、別のメンバーが対応可能になるのです。

 

団体戦になると言っても、本来の財産名義人(委託者)が元気なうちは、ほかのメンバー(受託者)に直接、戦い方(財産の管理方法)の指示を出すことができます。

 

家族信託を利用した後でも、財産の管理処分に対して、自分の意思を反映させられるのです。

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