今回は、「商事信託と家族信託」の選び方を見ていきます。※本連載では、司法書士みそら総合事務所代表・酒井俊行氏の著書、『わかりやすい家族への信託』(すばる舎)から一部を抜粋し、認知症の財務管理対策と相続対策の両方に効果を発揮する「家族信託」の基礎知識をレクチャーします。

受託者がいない場合は「商事信託」を利用

商事信託に向いているケース

 

●家族の中に受託者となってくれる人がいない

 

そもそも、家族の中に受託者を引き受けてくれる人がいない場合は、商事信託を利用するほかありません。

 

●家族の中に財産の管理を任せられる能力を持った人がいない

 

受託者を引き受けてくれる人がいても、その人が信用できない場合や、財産の管理を託せるだけの能力がない場合には、商事信託を利用するほかありません。

 

●財産の規模が大きく、積極的に運用したい

 

例えば、大きなマンションを建築できるほど広い土地を所有しているとか、億単位の現金預金を持っているというような場合は、たとえ手数料を支払ったとしても、それぞれの専門家に財産を信託して、積極的に運用してもらうことも検討したほうがよいでしょう。

 

●商事信託の商品の中に、目的に合致した商品がある

 

信託銀行でも、信託の仕組みを利用した個人向けの商品が増えてきていますので、家族の目的を叶えられそうな商品があれば、検討してみるのもよいかもしれません。

小規模の財産を信託する場合は「家族信託」を選択

家族信託に向いているケース

 

●財産の管理を家族の中で完結させたい

 

そもそも、家族の財産管理に、家族以外の第三者を関与させたくない場合は、家族信託を利用するほかありません。

 

●家族の中に受託者を任せられる人がいる

 

財産の管理処分を託せる家族がいて、管理処分業務についての十分な能力を持つ人がいる場合は、その人に財産の管理処分を頼んでみましょう。

 

●信託したい財産の規模や種類の問題で商事信託が使えない

 

例えば、自宅を信託財産にしたい場合や、小規模の現金預金を信託したい場合、信託銀行は、このような財産を預かってくれないことが多いので、家族信託の利用を検討する必要があります。

 

●商事信託の中に家族の願いを叶えられるような商品がない

 

既存の商品の中に家族の願いを叶えられるような商品がない場合は、家族信託をオーダーメイドで作り、家族が受託者となって協力し、財産を管理するほかありません。

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