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地域包括ケアシステムにおける「地域医療連携推進法人」の役割

前回は、地域包括ケアシステム運用に不可欠な「地域医療構想」を紹介しました。今回は、地域包括ケアシステムにおける「地域医療連携推進法人」の役割について見ていきます。

医療機関の「機能分担・業務連携」を推進

前回の続きです。

 

この地域医療構想をもとに、一定地域の複数事業者が法人でつながり、連携をとり、地域の患者・住民に適切な医療や切れ目のないサービスを提供できるようにしたものが「地域医療連携推進法人」です。

 

地域医療連携推進法人制度というのは、さまざまな法人や病院が連携して法人化することにより、医療機関の機能を分担し、業務の連携を推進するための施策です。地域医療連携推進法人には介護事業等を実施する非営利法人も参加することができるため、介護との連携も図りながら、地域医療構想の達成や地域包括ケアシステムの構築に大きな役割を果たします。

医療機関の連携で、患者の効率的な治療・ケアを実施

わかりやすく説明してみましょう。たとえば、機能の似たA病院とB病院が近くにあり、常に競争している状態であったとします。そこで、この2病院が地域医療連携推進法人として連携することにより、A病院は急性期の患者を診る病院、B病院はリハビリを行う病院というようにすみわけを図るのです。そうすれば急性期の患者はまずA病院に行き、急性期治療を受けます。

 

そして急性期治療終了後はそのままB病院に移り、リハビリをした後に自宅に帰る。さらに在宅診療を行うCクリニックとも連携していれば、B病院を退院したあとはCクリニックが訪問診療を行います。もちろん、在宅生活のなかで体調が悪化する場合も考えられるため、その場合は再び連携しているA病院に行く、といった流れをつくり、効率化を図るのです。2016年9月の医療法改正によって、2017年4月から設立がはじまっています。

 

[図表]地域医療連携推進法人

出典:厚生労働省「医療法人の事業展開等に関する検討会」資料より作図
出典:厚生労働省「医療法人の事業展開等に関する検討会」資料より作図

 

私の病院も、この取り組みにいち早く参画し、藤田保健衛生大学病院をはじめとする22法人が参加する「尾三会(びさんかい)」に所属しています。通常、地域医療構想では二次医療圏ごとに必要な病床数を決めていくのですが、「尾三会」は岡崎市、豊明市、名古屋市、刈谷市などの7医療圏・22法人におよぶため、法人内で病床数を調整していくことは想定していません。

 

しかし、法人内の医療機関が交流し、職員の研修機会が広がったり、医薬品の共同購入・医療機器や情報システムの共同利用なども実現可能です。医療機関が連携することによる受け入れ患者の調整などを行うことも期待できます。まだこの取り組みははじまったばかりですが、これからますます注目されていくと思われます。

医療法人清水会 理事長
相生山病院 院長 医学博士

1970年10月ニューヨーク生まれ。1歳半で帰国し、以後名古屋で育つ。
1989年愛知県立旭丘高等学校卒業。1996年藤田保健衛生大学医学部医学科を卒業後、1998年より名古屋第一赤十字病院循環器科へ赴任。翌年に藤田保健衛生大学医学部循環器内科に帰局し、内科認定医、循環器専門医を取得。
2007年、相生山病院副院長に就任、2013年には院長に就任。「患者に寄り添う医療」をモットーに、看護師や医師の対応、サービス等を改善するなどホスピタリティ向上に尽力している。
2016年3月、医療法人清水会理事長に就任。現在は高齢患者の健康寿命を延ばすため、認知症かかりつけ医・認知症サポート医として認知症予防や運動療法の普及にも積極的に取り組んでいるほか、介護施設も多数運営。地域で先駆けて「地域包括支援センター」として市の委託事業に参画。地域の医療・介護サービスの充実を目指している。趣味はトライアスロン。

著者紹介

連載高齢者のための地域医療――「地域」と「医療」の連携で取り組む体制作り

 

 

医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

佐藤 貴久

幻冬舎メディアコンサルティング

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、全国民の3人に1人が65歳以上になると予想されています。これまでと同じ医療体制を続けていては、高齢者は自分の望む最期を迎えられないばかりか、増える高齢者によって医療費が膨…

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