高齢者の地域貢献は、医療費削減の効果に繋がる
元気な高齢者が増えれば、その力を地域で発揮してもらうことが次の段階です。実際、高齢者とひと言でくくることが申し訳ないほど、元気で快活な高齢の方はたくさんいます。
これまで寝たきり状態だったような高齢者が健康を取り戻すことができれば、家族が介護離職の状態から解放されることのみならず、高齢者自身が地域のボランティア活動に参加することで、本当の意味での「1億総活躍」の一員として活躍してもらうことも期待できます。
病院内でのつき添い、独居高齢者宅の家事手伝い、子どもたちの通学路の見守り、地域の美化、子育て支援など、ボランティアをとおして高齢者が地域住民と関わることで、高齢者は地域のなかでなくてはならない存在となるのです。
高齢者側にとっても、ボランティアなどのかたちで地域に貢献することは、「社会に役立つ」「経験や能力を活かせる」「人とのコミュニケーション」など、生きがいのひとつになり、心と身体を健康に保つ要因にもなるのです。高齢者が健康を維持できれば、自立した生活を送ることのできる高齢者が増加し、医療費や介護保険給付の削減にもなります。
[図表1]60歳以上の人がボランティアに参加する理由
高齢者の活躍の場を生み出す「自立した生活の支援」
そうしたボランティアの場所として、病院や介護施設を提供することも、医療従事者や介護従事者に課せられた役割のひとつとして認識しなければなりません。
ボランティアを導入するためには、衛生面、個人情報の保護、利用者の理解など、クリアしなければならない壁も多々ありますが、それを乗り越えた先には、病院や介護施設を地域住民と共にある場所に変化させることができるはずです。
高齢者に適切な医療・介護を提供し、自立した生活を支援するために活躍の場を生み出す。こうしたよい流れをつくり、地域とつながるための努力を惜しまないことが、地域医療のあるべき姿なのです。
[図表2]住みやすい地域づくりのために最も大切だと考える活動