前回は、管収益物件の管理を「購入した不動産会社」に依頼するメリットを説明しました。今回は、物件オーナーが不動産業者に賃貸の仲介を依頼する際に結ぶ「媒介契約」の、3つの契約形態について説明します。

専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の違いは?

物件オーナーが、不動産業者に賃貸の仲介を依頼する際は、「媒介契約」という契約を結ぶことになります。

 

これは宅地建物取引業法によって定められた法的行為で、媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」という3つの契約形態が存在します。物件オーナーは貸主として、この3種類の契約から一つを選択して依頼することになります。

 

●専属専任媒介契約

 

「専属専任媒介契約」とは、依頼者である貸主が他の業者に仲介を依頼できないのと同時に、依頼した仲介業者から紹介された相手のみと取引をする媒介契約をいいます。分かりやすく言うと、仲介業務の一切を1社に全面的に任せる契約です。

 

この場合、オーナーが自分で入居希望者を見つけることもできません。

 

専属専任媒介契約で依頼を受けた仲介業者からすると、競合他社に契約を横取りされる心配がなく、オーナーが直接入居者を見つけることもないので、確実に仲介手数料が見込めるおいしい案件となります。必然的に客付けの優先度が高くなり、営業にも力が入ります。

 

ただし、貸主としては、多くの仲介業者を通じて物件情報を広く露出したいところなので、専属専任媒介契約を選ぶオーナーは少数です。

 

また専属専任媒介契約の場合、不動産仲介業者は1週間に1回、募集活動をオーナーに報告する義務が生じます。

 

●専任媒介契約

 

次に「専任媒介契約」です。こちらも1社に仲介を依頼する契約という点では、専属専任媒介契約と同じで、複数の業者に仲介を依頼することができない点も同様です。異なるのは、「依頼主が自分で入居希望者を見つけることができる」点となります。専任媒介契約を依頼された不動産仲介業者は、依頼者に対して2週間に1回以上の頻度で状況を報告する義務があり、国土交通大臣の指定する流通機構(レインズ)に物件情報を登録しなければなりません。

複数の業者に重複して仲介を依頼する「一般媒介契約」

●一般媒介契約

 

「一般媒介契約」は、依頼主が複数の業者に重複して仲介を依頼できる媒介契約です。もちろん、貸主自らが借主となる入居者を探して、賃貸契約を結ぶことも可能です。

 

WEBに募集情報が載っている物件は、一般媒介契約に基づくものと認識して間違いありません。依頼を受けた仲介業者からすると、仲介取引を独占できないので、競合他社に仲介料を取られるリスクがあります。

 

募集情報は広く公開されるので、物件を探している多くの人の目に留まるのが一般媒介契約のメリットとなります。

 

今はお客さんのほとんどが、ネットで部屋探しをしています。ネットに掲載されていない物件は、募集していない、あるいは存在しないのと同義です。

 

専属専任媒介契約や専任媒介契約では、露出が限られるので、業者の客付け力が高くないと、メリット以上にデメリットが大きくなります。任せる管理会社の客付け力や、本気度をヒアリングで見極める必要があります。

 

一般媒介契約で募集をかけると露出は増えますが、反面、一つの不動産ポータルサイトに複数の業者が同じ部屋の募集情報を掲載することになります。これは部屋探しをしている人からすると「同じ部屋の募集情報がこれだけたくさん載っているのは、よほどの不人気物件なのでは」という印象を持たれてしまいます。

 

物件情報がまったく露出しないのも困りものですが、露出しすぎても良くないので、バランスが難しいところです。

本連載は、2017年8月刊行の書籍『区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

田中 竜太,太田 将司

幻冬舎メディアコンサルティング

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