大企業に比べ、優秀な人材が集まりにくい中小企業
前回の続きです。
とはいえ、個人の能力を上げなければいけないことも事実です。大企業の場合、もともと比較的基礎学力があり、努力が好きな人材が多く集まります。入社後も定期的な研修制度が充実しており、ビジネスマンとして訓練する機会には恵まれています。
一方、中小企業では、もちろん例外はありますが、大企業ほど優秀な人材は集まりづらいですし、入社後も研修制度が充実しているわけではありません。というより大半の中小企業には研修制度自体存在しているケースは稀で、OJTもしくは自己研鑽で学ぶ機会を探すしかないのが現状です。
このように、新入社員の時に既に大きな差があるのですが、その差は就業年数を重ねれば重ねるほど開いていきます。
ですから、中小企業の経営者は、せっかく何らかの縁があって入社した従業員を、何としてでも育成するという心構えが必要です。
最も重要な経営資源は「人材」
右肩上がりに売上が成長していた時代であれば、人材の差がそのままビジネスの成果に直結することはありませんでした。市場自体が拡大していたわけですから、誰が担当しても右肩上がりに成長軌道を描くことができたわけです。
しかしながら、現在はそのような時代ではありません。人口が減少して、世界的に見ても商品・サービスのレベルが高く、成熟化が進行した日本のマーケットで戦わなくてはならないのです。人材を育て上げることがいかに大事か、最も重要な経営資源になると予想される人材へどのように投資するかが、今後の大きな経営課題であると言えます。
例えば、ダイレクトマーケティングを中心にニーズ顕在顧客を刈り取り、固定費を削減することで、短期的に業績を上げることは可能です。
もちろん、そこに従業員の成長などありません。この場合、企業が真に競争力のある企業に生まれ変わったわけではなく、優良企業の仮面をかぶっただけなので、私たちが離れてしばらくすると元の木阿弥のようなケースも残念ながらあるのです。
このようなことがないように、個人の能力を上げるための従業員教育はしっかりとやらねばなりません。