「評価項目が多い」=「適正・公平な評価」ではない
時々もっと多くの評価項目がないと適正な評価にならない、不公平が生じるとの意見をもらいます。しかし「適正な評価」とは何でしょうか。「評価における公平」とは何でしょうか。
評価項目は会社の求める人材を念頭に置いて決定します。10年後にはこんな従業員で溢れ返る会社にしたいという経営者の人材に関するビジョンが先にあります。その人材に関するビジョンは、会社のビジネスに関するビジョンを設定すると自然と決まってきます。そして、人材に関するビジョンが決まると、各々の評価項目として記載するべき項目が決まります。
ここまでで適正や公平などという概念は出てきません。それらの概念が顔を出すのは、このように決定した評価項目について、「どれくらい公平に、ルールに従って評価できるか、その評価の結果を適正に昇給や昇進に結び付けるか」という運用のフェーズになってからです。評価項目の多い少ないが、「適正・不適正」や「公平・不公平」の話にはなりません。
また、50以上の評価項目がある評価制度を持つ会社を今でも見かけますが、日常業務をこなしながらその全てに意識を傾けるというスーパーマンのようなことが人間に可能でしょうか。絶対に不可能です。こういった評価制度を持つ会社は、「当社は客観的な評価をしていますよ」という形だけを見せて従業員を納得させているだけで、従業員の成長や幸せは何ら考えていないのです。
人事評価制度とは「社員の生活を豊かにする」もの
本気で従業員の成長、つまり、ビジネスマンとしての成長、人間としての成長を考え、その結果が会社の業績アップのみならず、従業員の人生を幸せなものにするのだという強い意志があるならば、このような人事評価制度にはなりません。
「人事評価制度を通じて、社員の生活を豊かなものにする」
このような素敵な「人事制度に関するビジョン」を持つ会社は成長し、社会に貢献できる会社です。「お客様ファースト」は間違いで、「従業員ファースト」の会社を目指すべきです。