前回は、決算月に着目した税務調査対策について説明しました。今回は、税務調査先の選定などを目的に収集されている「法定資料」と「法定外資料」について見ていきます。

法定資料の提出は強制だが、法定外資料の提出は任意

税務署は調査先を選ぶための情報として、納税者に関する様々な資料を収集しています。税務署によって調査先の選定などを目的に収集されている資料は、大きく「法定資料(法定調書)」と「法定外資料」とに分けることができます。

 

この両者の違いをしっかりと把握しておくことは、税務調査対策を進めるうえで大きなポイントとなります。

 

というのは、「法定資料」は提出が強制されるのに対して、「法定外資料」は提出が任意だからです。つまり、前者の資料は税務署から提出を命じられた場合、それに従わなければ罰則を科されることになりますが、後者の資料については命令に従わないからといって罰を受けることはありません。「法定外資料」については、出すも出さないも納税者の自由な意思に委ねられているのです。

 

後ほど触れるように、税務調査対策においては、出す必要のない資料は可能な限り出さないことが重要になります。そのためにも、「法定資料」と「法定外資料」の違いをしっかりと意識しておくことが求められるわけです。

税務調査で重要資料となる「一般取引資料せん」とは?

主な法定資料の例としては、以下のようなものがあげられます。


●給与所得の源泉徴収票
●退職所得の源泉徴収票
●報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
●不動産の使用料等の支払調書
●不動産等の譲受けの対価の支払調書
●上場証券投資信託等の償還金等の支払調書
●特定新株予約権等・特定外国新株予約権の付与に関する調書
●国外送金等調書
●国外財産調書

 

一方、法定外資料については、法定資料以外のものが全てその中に含まれることになりますが、税務調査対策の観点からは、特に「一般取引資料せん」への注意が必要となるでしょう。

 

一般取引資料せんとは、所定の期間に支払った交際費や外注費の金額など取引相手に関わる情報を含んだ資料のことです。申告書には表れない企業の取引に関するデータがありのままに記載されているため、税務調査に必要となる情報を入手する手段として税務当局では非常に重要視されています。

本連載は、2015年11月12日刊行の書籍『「儲かる」社長がやっている30のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「儲かる」社長がやっている30のこと

「儲かる」社長がやっている30のこと

小川 正人

幻冬舎メディアコンサルティング

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