田舎にも「賃貸需要の高い」地域は多く存在
(1)「田舎」に対するイメージ
「田舎」と聞いて何をイメージしますか? 辺り一面が田園風景で公共交通機関がまったくなく、藁葺き屋根の家が立ち並び、かまどでご飯を炊いて、食料品は買ったりせず自給自足を行っているようなイメージをお持ちではないでしょうか。
そんなベタなイメージどおりの田舎なんて、日本の観光地になっているような所しかありませんから! 田んぼがたくさんあるエリアは数多くありますが、車を飛ばせばスーパーがあり、病院があり、公共交通機関もあり、とにかく車があれば生活できるレベルです。
ベタなイメージの田舎は、限界集落か極端な過疎地だと思いますが、そのような所で不動産投資をするわけではありません。田んぼが見えるような地域でも、需要と供給のバランスの取れる、十分賃貸経営が可能な場所はあるのです。私は、田んぼの中の物件と山の中の物件を所有していますが、満室経営できています。
(2)「空き家」に対するイメージ
「空き家」と聞いて何をイメージしますか? 高齢の親が亡くなり、遺族が相続したが都会に住んでいるので放置されている家というのが一般のイメージではないでしょうか。
最近では「空き家不動産投資術」や空き家を安く買ってDIYで修繕して貸し出すなどの投資法が流行り、空き家がある地域ではアパートの需要がないのでは? と思われるかもしれません。
しかし、売りに出される空き家物件は圧倒的に少数です! 所有者が手持ちの不動産を売りに出すのは、不動産仲介業者に依頼するだけですから、簡単なことです。にもかかわらず、空き家物件の売りが少ないのは、売りたくない、売ることができない何かしらの理由があるからです。
田舎の家族・親戚関係は田舎なりのしがらみがあったり、感情論でしか考えられない場合もあったりしますので、空き家はすぐに売られて供給過剰状態になったりするわけではありません。
大企業の本社機能移転で賃貸需要が過熱した実例も
(3)「田舎」は持ち家ばかり?
田舎のファミリー層は、拡大家族ばかりで昔ながらのお屋敷に住んでいるイメージがありませんか?
確かに、地元民であれば持ち家を持っている層、親と同居している世帯が大半です。私の地元の富山県では、結婚すると家を建てる風習があるため、日本一賃貸需要のない県だったりもします。
しかし、土地の安い田舎であったとしても、住宅ローンの通らない層もそれなりにいるので、決して賃貸需要がないわけではありません。
住宅ローンが通る層であっても、勤めている会社の福利厚生で借り上げ社宅として借りている場合もあります。むしろ、法人契約が多い地域もあったりするので、決して需要がないわけではありません。
(4)「田舎」の賃貸需要
そもそも「田舎」に賃貸需要はあるの? と思われるかもしれません。確かに、都市部と比較すれば需要は少ないかもしれませんが、需要が少なくても供給がもっと少なければ問題ないのです。
物件の周辺需要を調べて、「需要」供給」(需要が供給を上回る)の状態かを確認してから投資を行えば良いのです。もし、供給量が多く激戦区状態でも、物件価格が安ければ家賃を抑えることができるので、家賃や内装で差別化を行えば良いのです。
また、田舎は土地が安いため、大企業が大きな工場を建てたりすることがよくあります。例えばファスナーやサッシで有名なYKK株式会社が、「地方拠点強化税制」を利用して本社機能の一部を富山県黒部市に移転したことがあります。東京から約230名が異動したことによって、賃貸需要が加熱した事例です。
「地方拠点強化税制」とは、東京23区から地方に本社機能を移転した場合、減税を受けることができる制度です。つまり、需要があるかどうかを見極めることができれば、少々の立地的不利な環境でも良いのです。その分安く買って、家賃設定を抑えて差別化をすれば問題ありません。