今回は、「田舎」と「人口減少」にまつわる誤解を探ります。※本連載は、不動産投資アドバイザーとしてコンサルやセミナーを行う多喜裕介氏の著書、『田舎大家流不動産投資術:たった3年で家賃年収4700万円を達成した私の成功法則』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、なぜ今、投資対象として「田舎不動産」がねらい目なのかを具体的に探っていきましょう。

人口は減っているが、「世帯数」は増加傾向

(1)少子高齢化による人口減少について

 

私はよく地元や東京を問わず不動産投資のセミナーに参加しています。東京のセミナーではあまり言われることはないのですが、地元のセミナーでは講師の先生がこんなことをよく言うのです。

 

「『田舎』のアパートは少子高齢化で人口が減少し、客付けがだんだん難しくなります。税収の少ない『田舎』の自治体はインフラ整備にお金をかけられないので、コンパクトシティ化(都市機能を集約して持続可能な都市にすること)されます。よって『田舎』の地価が下がり、『都会』の地価が高騰します。だから今のうちに『田舎』のアパートは早く売却して『都会』に新築アパートを建てましょう」

 

果たして本当にそうでしょうか?

 

以下の図表は、平成17年、22年、27年の国勢調査結果から都道府県別の人口・世帯数と増減率をまとめたものです。

 

[図表]都道府県別人口・世帯と増減率

総務省統計局「国勢調査結果」を基に著者作成
総務省統計局「国勢調査結果」を基に著者作成

 

確かに、都会を除くと人口は減っていますので、講師の言っていることは正しく聞こえます。しかし、世帯数はどうでしょうか?

 

世帯数は一部を除き増加していますし、単身世帯についてはすべての地域で増加しています。おそらく、晩婚化か離婚、単身の高齢者が増加傾向にあると思われます。つまり、賃貸需要は人口に比例して増えるのではなく、世帯数に比例して増えるのです。単身世帯が増えるのであれば、単身向けの物件を提供すれば良いのです。

 

だからといって、すべての単身者が「都会」に住めるわけではありません。なぜなら、「都会」の物件は家賃が高いでしょうから。

 

ならば、車を運転できる若い世代に家賃の安い「田舎」のアパートに入居してもらえば良いのです。本当に? と思うかもしれませんが、私の1棟目のアパートで実証できています。

待機児童が比較的少なく、世帯収入も下がりにくい田舎

(2)子どもが生まれると生活が厳しくなる?

 

最近よくニュースで聞く話題として、子育て問題や保育所待機児童の問題が挙げられます。このようなニュースを見ていると、日本全体が待機児童であふれているのかと思ってしまいますが、果たしてそうでしょうか?

 

待機児童が多いのは「都会」と一部の「田舎」であり、「田舎」の待機児童は比較的少ないのです。

 

ここで、一番懸念されるのが、「都会」の物件の入居者に子どもが生まれて待機児童となった場合です。夫婦の収入から賃料を捻出している場合、奥さんが働けなくなると夫の収入に頼ることになります。つまり、最悪滞納に発展する可能性もあるのです。

 

国税庁による「平成27年分民間給与実態統計調査」によると、子育て世代を30代前半と仮定した場合の平均給与は397万円(男性451万円、女性307万円)だそうです。つまり、世帯収入が758万円あっても待機児童の発生により世帯収入が451万円に下がってしまうのです。

 

待機児童に対するリスクを考えると、「都会」よりも「田舎」の物件の方がリスクヘッジになるのではないでしょうか。

田舎大家流不動産投資術 たった3年で家賃年収4700万円を達成した私の成功法則

田舎大家流不動産投資術 たった3年で家賃年収4700万円を達成した私の成功法則

多喜 裕介

合同フォレスト

「レッドオーシャン」の都会より、「ブルーオーシャン」の田舎をねらえ! 不動産投資を始め、キャッシュフローを増やし、2年でサラリーマンを退職。知識はもちろん、数々の経験から、田舎で勝てる理論を構築した著者が、実例…

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