人口は減っているが、「世帯数」は増加傾向
(1)少子高齢化による人口減少について
私はよく地元や東京を問わず不動産投資のセミナーに参加しています。東京のセミナーではあまり言われることはないのですが、地元のセミナーでは講師の先生がこんなことをよく言うのです。
「『田舎』のアパートは少子高齢化で人口が減少し、客付けがだんだん難しくなります。税収の少ない『田舎』の自治体はインフラ整備にお金をかけられないので、コンパクトシティ化(都市機能を集約して持続可能な都市にすること)されます。よって『田舎』の地価が下がり、『都会』の地価が高騰します。だから今のうちに『田舎』のアパートは早く売却して『都会』に新築アパートを建てましょう」
果たして本当にそうでしょうか?
以下の図表は、平成17年、22年、27年の国勢調査結果から都道府県別の人口・世帯数と増減率をまとめたものです。
[図表]都道府県別人口・世帯と増減率
確かに、都会を除くと人口は減っていますので、講師の言っていることは正しく聞こえます。しかし、世帯数はどうでしょうか?
世帯数は一部を除き増加していますし、単身世帯についてはすべての地域で増加しています。おそらく、晩婚化か離婚、単身の高齢者が増加傾向にあると思われます。つまり、賃貸需要は人口に比例して増えるのではなく、世帯数に比例して増えるのです。単身世帯が増えるのであれば、単身向けの物件を提供すれば良いのです。
だからといって、すべての単身者が「都会」に住めるわけではありません。なぜなら、「都会」の物件は家賃が高いでしょうから。
ならば、車を運転できる若い世代に家賃の安い「田舎」のアパートに入居してもらえば良いのです。本当に? と思うかもしれませんが、私の1棟目のアパートで実証できています。
待機児童が比較的少なく、世帯収入も下がりにくい田舎
(2)子どもが生まれると生活が厳しくなる?
最近よくニュースで聞く話題として、子育て問題や保育所待機児童の問題が挙げられます。このようなニュースを見ていると、日本全体が待機児童であふれているのかと思ってしまいますが、果たしてそうでしょうか?
待機児童が多いのは「都会」と一部の「田舎」であり、「田舎」の待機児童は比較的少ないのです。
ここで、一番懸念されるのが、「都会」の物件の入居者に子どもが生まれて待機児童となった場合です。夫婦の収入から賃料を捻出している場合、奥さんが働けなくなると夫の収入に頼ることになります。つまり、最悪滞納に発展する可能性もあるのです。
国税庁による「平成27年分民間給与実態統計調査」によると、子育て世代を30代前半と仮定した場合の平均給与は397万円(男性451万円、女性307万円)だそうです。つまり、世帯収入が758万円あっても待機児童の発生により世帯収入が451万円に下がってしまうのです。
待機児童に対するリスクを考えると、「都会」よりも「田舎」の物件の方がリスクヘッジになるのではないでしょうか。