今回は、政治リスクが高まるトルコの「トルコリラ」の現状を探ります。※本連載は、ロンドン在住の個人投資家として活躍する松崎美子氏の著書『ずっと稼げるロンドンFX(ファンダメンタルズ取引の実践テクニック)』(自由国民社)から一部を抜粋し、為替相場を動かす要素について、いま旬の「6つのテーマ」とともに見ていきましょう。

政策金利が高い=「高金利でないと誰も買わない通貨」

最後にトルコリラにも触れておきます。日本でも最近、トルコリラ/円を取り扱うFX会社が急増していますが、その理由はトルコの政策金利の高さに尽きるでしょう。

 

しかし、政策金利の高さとは、裏を返せば「高金利でなければ誰も買わない通貨」ということでもあります。著名シンクタンクのユーラシア・グループが年初に発表する「世界の10大リスク」で、毎年のように取り上げられている国がトルコです。

続く政情不安・・・対外的にも問題は山積み

トルコリラ/円のチャートを見ると、きれいな右下がりとなっています。トルコでもっとも懸念されるのは、政治リスクです。2014年夏、首相から大統領に転じたエルドアン氏が独裁者のように振る舞い、その態度を政府関係者や有権者が許しいるかぎり、トルコへの投資環境が好転することはないのかもしれません。

 

また、2015年以降のトルコではテロが相次いでいます。発端となったのは2015年7月のイスラム国への空爆であり、報復と思われるテロが頻発しました。また総選挙でエルドアン大統領率いる与党・公正発展党(AKP)は第1党とはなったものの、過半数の獲得はなりませんでした。翌年にはクーデター未遂事件が発生し、非常事態宣言を発令する事態にも陥りました。

 

対外的にもトルコは難民問題をめぐり、EUとの軋轢を深めています。そこでトルコが頼りにしたのはロシアであり、その結果、EU加盟交渉は凍結されることとなりました。

 

対米関係はどうでしょうか。エルドアン大統領はアメリカに亡命中のイスラム教聖職者のギュレン師をクーデター未遂事件の首謀者と考えており、身柄の引き渡しを求めています。ところが、アメリカ側は証拠不十分として、これに応じていません。決して良好とはいえない関係です。

 

ここで問題となるのは、アメリカは中東における軍事拠点としてトルコのインジルリク空軍基地を使用していることです。ここには戦闘機だけでなく、アメリカの核爆弾が多数格納されているのです。

 

もしもアメリカとトルコの関係が悪化した場合、非常に怖い事態です。エルドアン大統領からすれば、核兵器を掌中に収めたも同然と思っているかもしれません。

本書はFX(外国為替証拠金取引)の概要および投資の参考情報の提供を目的にしたものです。本書の内容に関しては万全を期すよう注意を払いましたが、それを保証するものではありません。本書の情報を利用した結果生じたいかなる損害、損失についても、著者、出版社および本書制作の関係者は一切の責任を負いません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。

ずっと稼げるロンドンFX(ファンダメンタルズ取引の実践テクニック)

ずっと稼げるロンドンFX(ファンダメンタルズ取引の実践テクニック)

松崎 美子

自由国民社

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