パンドラの箱を開けた「ギリシャ・ショック」
ブレグジットで一挙に表面化したEU崩壊のリスクですが、そのルーツはギリシャの債務危機であり、さらにそのルーツは2008年のリーマン・ショックまで遡ります。
リーマン・ショック後、債務危機に陥ったギリシャは、財政をEUからの支援金でまかなっています。ユーロ加盟国の国民はギリシャのために増税や年金受給額の減少、年金受給開始年齢の引き上げ、公的サービスの削減といった負担を強いられています。
この不満に対する受け皿として急速に勢力を拡大させたのが、ポピュリズム政党です。ユーロを採用していなければ通貨の切り下げでしのげたのに、それができないもどかしさ、他国のために超緊縮財政を強いられている理不尽さ――そうした声を「EU、ユーロ圏からの離脱」や「反緊縮財政」といった政策を掲げるポピュリズム政党は吸収してきました。
極右、極左・・・ポピュリズム政党の主張は様々
2017年3月のオランダ総選挙では極右の自由党が議席を増やし、フランス大統領選挙では同じく極右政党である国民戦線のルペン候補が善戦しました。
フランスやドイツは二大政党制の伝統が長い国ですが、そうした国ですらポピュリズム政党が一定の支持を集めています。それを考えれば、ギリシャでシリザが政権を獲得したことは不思議ではありませんし、その他の国々で政権をとるようなポピュリズム政党が登場しても驚きはありません。
ポピュリズム政党はユーロ圏各国で勢力を伸ばしており、波乱の渦を引き起こしかねません。主な国のポピュリズム政党は以下の図表のとおりです。括弧内に政治的立場を書き添えました。ここからもわかるようにポピュリズム政党とひと言でいっても、極右から極左までその主張はさまざまです。
[図表]ユーロ圏の主なポピュリズム政党
この話は次回に続きます。