前回は、コンパクトアパート経営の「賃料・空室率・修繕費」の見極め方について紹介しました。今回は、なぜ賃貸住宅経営では「実質利回り」が重要なのかを見ていきます。

賃貸市場の変化に備え、数年ごとに収支計画を見直す

収支計画のシミュレーションはあくまで予測です。賃貸住宅経営を始めるにあたって、どこにどんなリスクがあるのか、それに備えるにはどうすればいいのか、あらかじめ検討するために行うものです。

 

もちろん、どう見ても収支計画に無理があるようならやめるべきですが、最初から「できない理由」を探すのも違います。そのあたりのバランスが収支計画のシミュレーションでは重要なのです。

 

また、アパート経営は世の中の景気動向や税制、金利などの変化に当然、左右されます。エリアによっては再開発が行われたり、交通網が整備されたり、入居者の多くが通う大学などの移転といったこともあるでしょう。賃貸市場の環境変化に応じて、収支計画を適宜、見直していくことも重要です。

 

さらに、ご自分やご家族の事情、相続の発生等によって、収支計画の見直しが必要な場合もあります。数年ごとに収支計画は見直すべきものと考えておいたほうがよいでしょう。

問題は「経費がどのくらいかかるか」という点

アパート経営における重要な指標として「利回り」があります。これは、土地を購入し、建物を建てるために必要な費用(あるいは土地建物を購入するための費用)と、そこから得られる収入との割合です。

 

「利回り」には大きく分けて、次の2種類があります。

 

表面利回り(%)=­­年間の総収入÷総投資額×100

実質利回り(%)=(年間の総収入-経費)÷総投資額×100

 

もちろん、利回りが高いほど投資としてのリターンは良いのですが、同じ物件でも「表面利回り」と「実質利回り」が大きくかい離することがあります。それは、経費がどれくらいかかるかの問題です。

 

いくら「表面利回り」が高くても、年間の総収入から差し引く経費が大きいと、「実質利回り」が大きく低下します。

 

不動産投資を考えている人の中には、利回りの高い中古物件を一生懸命探すケースがありますが、広告などで表示されているのはあくまで「表面利回り」です。

 

「表面利回り」だけで物件を選ぶのは危険だと思います。実際に購入して運営を始めてみると、予想以上に経費がかかり、場合によっては収支が赤字になることも少なくありません。

 

利回りは「表面利回り」だけでなく、必ず経費を差し引いた「実質利回り」で判断するようにしましょう。

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

山上 晶則

幻冬舎メディアコンサルティング

2016年3月に不動産調査会社「タス」が行った調査によると、首都圏賃貸アパートが「空室率30%超」となっています。今後もさらに日本の人口減少は続き、その一方で貸家着工数は増え続けているため、多くの不動産オーナーが空室…

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