今回は、会社の運営上の費用である「固定費」と「変動費」違いについて説明します。※本連載では、楽天市場で人気の花屋「ゲキハナ」を運営する古屋悟司氏の著書、『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』(案内人・田中靖浩氏/日本実業出版社)の中から一部を抜粋し、実体験をもとに、会社の儲けるパワーを高めるための「管理会計」の活用法を解説していきます。

売れなくてもかかっている費用はすべて「固定費」

前回の続きです)

 

税理士さんは、あまり話に納得していない僕にかまわず続けます。

 

税理士「固定費の定義は、『売れても売れなくてもかかる費用』です。どんなものがありますか?」

 

僕「売れても売れなくてもかかる費用ですか? 家賃ですかね」

 

税理士「それもそうですね。ほかには思いつきませんか?」

 

僕「うーん。あ、水道代とか電気代ですか。売れなくても電気は使いますし」

 

税理士「そうですね。ほかにはどうでしょう?」

 

僕「えっ!? まだありますか?」

 

税理士「はい。たくさんありますよ」

 

僕「すみません。思いつきません・・・」

 

税理士「では、答えを言いますね。それ以外に人件費も固定費です。売れなくても人件費はかかります。また、福利厚生費や接待交際費、会議費、交通費、広告費もそうです。まだたくさんありますが、売れなくてもかかっている費用はすべて固定費です。費用の大半が固定費なんです」

 

僕「広告費も固定費なんですか? 広告を出せば売れ行きも変わりますが」

 

税理士「でも、広告を出してもまったく売れないケースもありますよね? だから、固定費として考えます」

 

僕「なんか納得できないんですが・・・」

 

税理士「考え方としては、固定費は、すねかじりなニートな費用というイメージです。なんにもしないけど、食費はかかるし、部屋でゲームやっているから、電気代もかかりますよね? 固定費は『ニートな費用』だと思ってください」

 

僕「『ニートな費用』ですか。なんとなくイメージできます」

 

僕は頭のなかで、まさに部屋でずっとゲームばかりやっている人の姿を思い浮かべました。

売れば売るほどかかる費用は「変動費」

税理士「さらに変動費を知ると、固定費もよりわかりやすくなってきます。変動費は『売れば売るほどかかる費用』と覚えてください」

 

僕「うーん。変動費は『売れば売るほどかかる費用』ですか・・・」

 

税理士「そうです。商品が1つ売れると必ずかかる費用って何がありますか?」

 

僕「えーっと。ウチは通販をやっているので、1個売れたらそのぶんの仕入れる原価、梱包資材の費用と、出荷するための送料ですかね。あと、梱包するための人件費がかかりますが」

 

税理士「梱包するための人件費は、売れなくてもその場に梱包する人がいれば時給が発生するので、固定費になるんですよ」

 

僕「それで人件費は固定費になるのかあ。では、売れたぶんだけ歩合制で梱包してもらってる場合はどうなるんですか?」

 

税理士「その場合は変動費として分けるのが適切です。さきほど納得できなかった広告費。これも考え方は同じで、売れたぶんだけかかる性質であれば変動費。10万円かけてチラシを作って、いくら売れるのかわからないようなら固定費なんです」

 

僕「まあ、なんとなくですが、イメージはつかめます・・・」

 

固定費と変動費という言葉は、なんとな~く聞いたことがありました。文字通り、固定しているから固定費で、変動するから変動費だと思っていましたが、その性質を聞いてみると、じつは違う解釈があるみたいです。

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

古屋 悟司 田中 靖浩(案内人)

日本実業出版社

ずっと赤字体質だったのが、スゴ腕の税理士に教わったとたん、V字回復して黒字が続いているという、著者の実体験をもとにした超実践的な会計の入門書。 ●「お金はあとからついてくる」はウソ ●固定費はニートな費用、変…

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