今回は、儲けパワーを算出するための「限界利益額」の具体的な計算方法を見ていきます。※本連載では、楽天市場で人気の花屋「ゲキハナ」を運営する古屋悟司氏の著書、『「数字」が読めると本当に儲かるんですか?』(案内人・田中靖浩氏/日本実業出版社)の中から一部を抜粋し、実体験をもとに、会社の儲けるパワーを高めるための「管理会計」の活用法を解説していきます。

「税込、税別」は必ず統一して計算する

きっと怪訝そうな表情になっている僕をよそに、税理士さんは、相変わらず会計の話をするのが楽しそうです。

 

「では、本題に入りましょう。限界利益額の出し方なんですが、とても簡単です。計算方法はシンプルなんです。小学校で習った算数だけで計算できます。これさえ覚えておけば、いつでも魔法のメガネが手に入ったも同然です」

 

限界利益額:売上額-変動費の額

 

「え? こんな引き算でいいんですか?」

 

税理士「はい。これだけです。限界利益は額と率で把握するんですが、まずは額から理解していきましょう。限界利益の額がいくらだというのは、会計の基本的なお金の数え方だと思ってください」

 

「あっ、でも、売上額と変動費の額がいくらなのかを把握してないと計算できないと思いますが・・・」

 

税理士「はい。この前の費用の説明でもあった、まず自分の会社の変動費には、どんな費用があるのかを把握しておくことが大切です。では、古屋さんの会社にあてはめて、実際に計算してみましょう」

 

「はあ・・・」

 

税理士「では、商品1個に対する限界利益額を出してみましょう。仕入額とか販売額とかがわかる商品を例に・・・。ここにある観葉植物っていくらで販売していますか?」

 

「えっと、これは2000円です」

 

税理士「その金額は税込ですか?」

 

「いえ、税別です」

 

税理士「ここ、大事なんですけど、税別で計算するなら、すべてを税別で計算してください。売上が税込で、原価も資材費も、いわゆる変動費が税別だったら計算がおかしくなっちゃいますから」

 

「でも、消費税の8%って、たいしたことないんじゃないですか?」

 

税理士「いえいえ。8%は怖いですよ。100万円の8%は8万円です。もし自分のお財布から8万円がなくなっていたら、平気な顔していられます?」

 

僕は、実際に財布から8万円がなくなった状況を想像して、ゾッとしました。

 

「いやー、三日三晩うなされると思います」

 

税理士「8%は大きいでしょ? 税込なら税込、税別なら税別で統一しましょう」

 

「そういうものなんですね」

 

税理士「では、今回はわかりやすくする意味でも税別で統一しましょう。で、販売価格2000円の観葉植物が売れたら、売上は2000円ですね。この商品の仕入額はいくらになりますか?」

 

「これの仕入額は1000円です。税別です」

 

税理士「仕入額1000円に、まだまだここから引いていきます。変動費を丸ごと引いたら限界利益額が出ますから。で、この観葉植物が1個売れたとします。そのときにかかるストーカー費用である変動費は、仕入額の1000円と、あとほかに何がありますか?」

 

「えっと。これに原価100円のバスケットをつけて、梱包するのに箱が100円、あとは、配送に400円かかっています」

 

税理士「この観葉植物には仕入額の1000円と、売れれば売れるほどバスケットと箱と配送費を合わせた600円が必ずかかっているということですね?」

 

「はい。そういうことになります」

 

変動費の合計:1000円+600円=1600円

 

税理士「では、変動費の合計額は1600円になりましたね」

 

「そうなりましたか」

 

それっぽい答え方をしたけれど、本当は税理士さんの話を聞くだけで精一杯でした。

変動費と売上がわかるだけで、限界利益が理解できる⁉

税理士「計算してみてください。簡単ですよ。限界利益額=売上-変動費の額」

 

限界利益額:2000円-1600円=400円

 

「えーっと、売上2000円から変動費の1600円を引くと、限界利益額は400円ということになりますか?」

 

税理士「正解です! この商品が1個売れたときの限界利益額は400円です」

 

「ここまではかろうじてついていっています」

 

税理士「これは、1個だけ売れたときのやり方ですけど、1年間の売上に対する限界利益額を出すのも簡単です」

 

「それはどうやってやるんですか?」

 

税理士「仮に、この2000円の観葉植物だけしか販売していなかったら、どうなるかで、まずは考えてみましょう。仮に年間100個売れていたら?」

 

さっきの計算を100個で考えればいいんだよな。これくらいならできそうです。

 

売上:1個2000円×100個=20万円
仕入:1個1000円×100個=10万円
バスケット代:1個100円×100個=1万円
箱代:1個100円×100個=1万円
送料:1個400円×100個=4万円

 

「えーっと、100個だと、売上が20万円で、仕入額が10万円、バスケットが1万円、箱代も1万円、運賃が4万円です」

 

「では、売上20万円に対して、変動費はいくらになりますか?」

 

「えーっと、仕入額の10万円と、バスケット代の1万円、箱代の1万円、送料の4万円を全部足すわけだから、16万円です」

 

税理士「限界利益額はいくらになりますか?」

 

売上20万円-仕入額10万円-バスケット1万円-箱代1万円-送料4万円=4万円

 

「売上の20万円から変動費の16万円を引くから、4万円ですか?」

 

税理士「そうですね。簡単でしょ?」

 

「簡単ってほどじゃないですけど、なんとなくは理解できました。でも、実際は、いろんな商品を扱っているので、こんなに簡単ではないですよね」

 

税理士「たしかに今回はわかりやすいようにシンプルにしました。でも、計算式は同じです。ちなみに。じつは決算書を見て計算すると、1年ぶんを簡単に計算することができるんです。古屋さんの会社の昨年の限界利益額を出してみませんか?」

 

「出すことによって儲けパワーとやらがわかるんでしょうか・・・」

 

今まで教えてもらった、費用の種類のなかの1つ変動費。変動費と売上がわかるだけで、限界利益が理解できてしまう。それが自分の会社の儲けパワーにつながる、と税理士さんは言います。

 

ただ、まだ限界利益についてよくわからない僕にとっては「魔法のメガネ」ではありません。

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

「数字」が読めると本当に儲かるんですか?

古屋 悟司 田中 靖浩(案内人)

日本実業出版社

ずっと赤字体質だったのが、スゴ腕の税理士に教わったとたん、V字回復して黒字が続いているという、著者の実体験をもとにした超実践的な会計の入門書。 ●「お金はあとからついてくる」はウソ ●固定費はニートな費用、変…

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