限界利益率が高ければ高いほど「儲けパワー」が高い
(前回からの続きです)
ただ、それがウチの会社の儲けパワーですって言われても、何も感情の変化が起きないんですが。
僕「で、その儲けパワーってやつで、何がわかるんでしたっけ?」
税理士「限界利益率はその会社の現状を映す鏡と言っても過言ではありません。これは会社ごとに違います。今後どうしていきたいかを考えるうえでの指標となります」
僕「僕の会社は22.2%の儲けパワーがあるというのは、よいことなんですか、それともよくないんですか? まあ経営状況からいえば、ダメっぽい気がしますが」
税理士「22.2%はあくまでも指標ですが、一応、目安として知っておいてほしいのは、私が知るかぎり25%以下で黒字になっている会社は少ないです。
そうですね、限界利益率が高ければ高いほど、儲けパワーが高いと思ってください。仮に限界利益率が30%の会社と25%の会社とでは、限界利益率が30%の会社のほうが、儲かる確率は高まりますね」
僕「やっぱり、高ければ高いほうがいいんですね。ってことは、これが理由でウチの会社は儲からないわけですか?」
税理士「そうですね。そういうことになります。そして、限界利益率は高いに越したことはありません。で、これは決算書をもとにした数字ですが、商品1つずつの限界利益率も出すことができます。さきほどの観葉植物の限界利益率も出してみましょう」
僕「あ、はい。えっと、さっきの観葉植物の販売価格は2000円、限界利益額が400円で・・・」
観葉植物の販売価格:2000円限界利益額:400円
限界利益率:400円÷2000円×100=20%
税理士「限界利益率は20%でしょうか。会社の1年間トータルの限界利益率は22.2%でしたから、それよりも低いですね。ますます儲からない状況がそろっているわけですね」
僕「えー・・・。だから儲からないんですか?」
税理士「そうですね。この商品は古屋さんの会社のなかで、儲けパワーが平均よりも低いです。この観葉植物が売れても儲かりにくいともいえます」
なんか、もうウチの会社のダメ出し祭りになってきました。
「売上を上げる=利益率を上げる」にはならない⁉
僕「心が折れてきそうなので、もっと儲かる話、教えてくださいよ」
税理士「まあ、そうあせらずに。ここからが重要です」
出た、「あせらずに」。
僕「平均よりも低いと聞けば、余計あせりますよ!」
税理士「まあまあ。この観葉植物がたくさん売れることで、売上は上がりますが、限界利益率が高まることには大きく貢献してはいない。つまり、この商品が売れても利益の底上げにならない。売上を上げることが、利益率を上げることにつながるかというと、答えはノーです」
自分がこれまで、とにかく売上を上げようと必死になってやってきたことが一瞬で否定されたわけです。でも、そんなことよりも数字が示す未知の世界への興味が勝り、もっとその先を知りたくなっていました。
僕「えーっ! 売上が増えても儲からなかったのは、こういうことなんですか? じゃあ、どうやったら儲かるんですか?」
税理士「限界利益率がわかると、会社にとって1つの目指すべき数字が見えてきます。この限界利益率を指標にして、上げていくべきなのか、下げても大丈夫なのかを考えていくんです。今儲かっていれば22.2%は安全ゾーンかもしれませんが、今儲かっていないのであれば危険ゾーンという判断もできます」
僕「それって、儲からないことがわかっちゃうメガネじゃないですか! ふつう魔法のメガネって希望が見えるものなんじゃないですか? 儲からない事実がわかるって残酷なんですけど。もう、いっそのこと会社やめちゃったほうがいいですかね?」
税理士「あきらめるのはまだ早いですよ。どうすれば儲かるかを計算する方法があります。さらにこの限界利益率をもとに、いくらまで売上を伸ばせば会社が黒字になるのかを見ることもできます」
僕「えっ、そんなのがわかるんですか!」
税理士「たしか限界利益の説明で言った気がするのですが・・・。ところで、『損益分岐点(損益分岐点売上高)』の計算をしたことはありますか?」
僕「なんとなく言葉は聞いたことはありますけど、計算したことはありません」
税理士「とても簡単に計算ができますよ」
「限界利益率」の話で、なんとなくわかったのは、「売上を上げれば、会社にお金は残る」
という今までの考え方では儲からないということでした。
では、儲かるにはどうしたらいいんだろう? 果たして「損益分岐点」を知ることで儲かるのか? じれったい。早く教えてほしい。