前回は、建築物の構造から「一棟物件」の特徴を解説しました。今回は、一棟物件投資で「築20年、RC造」が狙い目となる理由を見ていきます。

耐用年数が長く、銀行融資を獲得しやすい「RC造」

前回の続きです。

 

ここで狙い目の築年数は「築20年」です。法定耐用年数という、法律で定められた建物の耐用年数を基準にして、金融機関は融資の期間を決めています。

 

いずれの構造であっても、木造と比べて耐用年数が長いのは大きな特徴です。

 

耐用年数が長いからこそ、銀行から融資を獲得しやすいという面があります。

 

不動産投資とは他人資本、つまり融資を使って規模拡大を狙うものなので、当然、長寿命の建物に投資して長い期間の融資を受け、毎月のキャッシュフローをしっかり残すことが重要となります。

 

その点からいっても、木造より重量鉄骨造やRC造を狙ったほうが圧倒的に有利なのです。

 

築20年くらいの物件をおすすめするのにはもう一つ理由があります。

 

あまりに古い物件になると最新の耐震基準を満たしていない旧耐震の物件となるからです。

 

熊本の震災を報じるニュースが記憶にある人もいるでしょう。同じ敷地に建つアパートで、一棟の建物は姿を留めており被害は軽微、しかしもう一棟は大きく倒壊して犠牲者まで出してしまいました。

 

この違いは、建物が新耐震だったか旧耐震だったかによるものです。外壁がリフォームされて、どちらも見た目は新しいアパートに見えても、耐震基準の違いが明暗を分けたのです。

築年数よりも「新耐震基準」を満たしているかが重要

やはり、安定した賃貸経営をするには、築20年前後、どんなに古くても新耐震基準を満たす物件を所有すべきでしょう。以下に新耐震と旧耐震についてまとめました。

 

そもそも建物を建築するにおいては、守らなければならないルールがあります。それを定めた法律が、1950年に制定された「建築基準法」です。この建築基準法には、建物の耐震性に関する基準があります。それは建築基準法が住宅の壊滅的な被害をもたらした1948年の福井地震をきっかけに制定されているからです。

 

そして、日本国内で大地震が発生するたびに、建築基準法は改正されています。なかでも大きな転換期となったのは、1981年の改正です。この改正は1978年の宮城県沖地震が起こったことにより実施されました。この改正以前を「旧耐震基準」、以降を「新耐震基準」と呼んでいます。

 

●旧耐震基準の建物

 

1981年5月31日以前に建築確認申請がおりた建物。旧耐震基準では「震度5程度の地震でも倒壊しないこと」という基準になっていました。倒壊しないことにより人命が守られればそれでよいという考え方です。そして、震度6、7の地震については考慮されていません。

 

●新耐震基準の建物

 

1981年6月1日以降に建築確認申請がおりた建物。震度5程度の地震では「倒壊しないこと」から「中規模の地震動でほとんど損傷しないこと」という基準に改正されました。また、震度6、7の地震については「倒壊しないこと」という基準になりました。この新耐震基準で建てられた建物は、1995年の阪神・淡路大震災でも大きな被害が少なかったことが分かっています。

 

[図表]住宅用の建物の法定耐用年数(1998年改正)

本連載は、2017年8月刊行の書籍『区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

田中 竜太,太田 将司

幻冬舎メディアコンサルティング

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