ITツールの披露だけでは、一瞬の驚きにしかならない
営業の現場で使うITツールは、最初はいかに人の目を引くかという使い方から始まったように思います。
パワーポイントが最初に出てきたときを考えてみても、それまでOHP(オーバー・ヘッド・プロジェクタ)でできなかったアニメーションが設定できるようになり、画面が動くだけでも新鮮でした。
しかし今はこうしたアニメーションはあまり使われなくなっています。最近であればヒューマノイド型ロボットを連れてきてトークをさせてもおもしろがられるとは思いますが、やはり長続きはしないでしょう。
なぜなら、それは本当に必要な情報を伝えるための方法ではなく、一瞬の驚きだけだからです。営業活動で驚きを与えられることは必要なことですが、継続できることの方が大切だと思います。
タブレット端末を持っていくだけで話題になる時期もさすがに過ぎました。それよりも営業活動にうまく使える対話型のITツールであることが求められるようになっています。これが継続できることにつながります。
「課題」と「解決策」を提示できることが重要
いわゆる〝優秀な営業担当者〞とは、課題の掘り下げと解決策の提示と締めくくりが上手な人ではないでしょうか。課題に気がついていない人、課題に気がついていても解決策まで考えきれない人にとって、これらを提示してくれる営業担当者は大変ありがたい存在です。
私も会社員時代に、過密スケジュールの中、多くの売り込みを受けていました。そんな中で、私のとっていたのは次のような方法です。
売り込みの電話に対して、まず私の課題を説明し、答えを見つけたら持ってきてほしいというように逆に依頼を行っていました。10社中1〜2社程度は「答えを見つけたと思うから時間をください」と再度の連絡をくれました。その中でも正解を導き出せているのはさらに5分の1程度でしたが、私の代わりに考えてくれるだけでもとても助かりました。
まじめに考えて正解を出してくれた人は、訪問の都度、多くの該当事例を、かなり時間をかけ調べてきていました。そしてそのときの課題の提示、解決までの姿勢と効率的な時間の使い方などを評価していました。
このときの仕事も、当時タブレットがあって、なおかつ対話型で使える事例がたくさん入っていて、必要なシミュレーションができるようになっていたらかなり短時間で取引が決まっていたと思われます。
私のいた会社は購買部門もしっかりしていましたので、重なる発注は年間取引の契約にも発展しました。その際に購買からもとても高い評価を得られました。
ある会社は、企業規模は大きくありませんでしたが、最終的に各部門とも契約が成立し、年間1億円以上の発注となりました。担当人数を増員した対応となり、いずれのプロジェクトでも継続的に成果を上げていました。今でも当時のことを感謝しています。