前回は、営業ツールとしての動画に「社外の人」を登場させるメリットを説明しました。今回は、タブレットPCのアシストで営業担当者の交渉力を上げる方法を見ていきましょう。

営業サポートを謳うソフトウェアはたくさんあるが・・・

最近出てきたアメリカ製のツールで、人の表情を分析するというソフトウェアがあります。

 

例えば笑顔で今話をしているが、本心は違うということを表情から読み取って伝達します。これをタブレット端末に入れると、営業担当者だけに「今の発言は本心ではありません」と伝えるような仕組みができるでしょう。

 

経験豊富な人は直感的にそういうことまで把握するのでしょうが、そうでない若い営業担当者でも「機嫌が悪いのかな、気に入っていないのかな」と気づきます。

 

こうしたツールやAIを導入することで、ITで営業を支援できる幅が広がっていきます。目の前のクライアントへの過去の説明データや、会社が保有するビッグデータをもとに、情報を整理して、こういうふうにコンテンツを活用しながら話を持っていけばいいのではと示唆することができます。

相手の気持ちを動かすのは、営業担当者の「熱意」

ただしその通りにするかどうかは、人が場面や状況をもとに判断して決めることです。ツールやAIがやるのは、あくまでもコンシェルジュの範囲に止まります。いくつかの会話のしかたの選択肢をAIが提案して、それを参考にしながらより深みを持った話と熱意でクロージングに持っていくのが営業担当という役割分担になるでしょう。

 

動画で編集者やドクター、社長の話を見せただけではだめです。書店であれば「この本を棚に並べてください」、医師相手であれば「この薬を使ってみてください」という最後の一押しをしなければなりません。

 

人の気持ちを動かすには、やはり目の前にいる人の熱意が一番大きく影響します。だからこそ営業担当者が訪問して、タブレットを見せてプレゼンテーションに動画を活用しながらも、相手の気持ちを決定づけるよう説得しにいくのです。

 

その最後の一押しまでの過程で、人からITに代えられるところは代えていくと、営業担当者の負担が減り、訪問営業で一番肝心な人対人の局面に集中できます。

 

ちなみに、動画は顧客を対面にしたときを想定したつくりになっている必要があります。例えば通常の動画コンテンツにはよくオープニング映像が入りますが、営業担当者が使うときは顧客との対話を確実にするために短くしてあることが必要条件です。

本連載は、2016年12月13日刊行の書籍『最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略

最強営業部隊をつくるタブレットPC活用戦略

関根 潔

幻冬舎メディアコンサルティング

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