住みたい場所と賃貸ニーズが合致する場所を選択
賃貸併用住宅を取得しようとするからには、建設適地を探すにしても具体的な物件を探すにしても、まずおおまかな場所を絞り込む必要があります。
多くの人は、勤務先や実家など地縁のある場所との関係で、おおまかな方面や沿線は自ずと定まるはずです。一般に分譲住宅を取得する場合、多くの人が今住んでいる家から3キロメートル圏内、または自宅の最寄り駅を中心として前後3駅のエリアを選ぶと言われています。
なかには居住地にこだわりの強い人もいるでしょう。「この街に絶対住みたい!」ということであれば、もちろんその街限定で探すのもいいと思います。しかし賃貸併用住宅の場合は、「自分が住みたい」というニーズと賃貸としてのニーズが合致するエリアを選ぶ必要があります。
「地方の都市部」など利便性の高い場所に賃貸需要が存在
参考までに、賃貸住宅の市況を簡単に見ておきましょう。
日本銀行が四半期に一度の割合で公表する「地域経済報告」の2017年1月版では、日本各地の住宅投資の動向にふれています。それによると、幅広い地域で着工が増加しており、入居需要に関しては次のような報告が支店から上がっています。
横浜支店からは、「県内は人口・世帯数ともに増加していることから、貸家に対するニーズは強い」という報告がありました。やはり人口や世帯数の増加傾向が見られる大都市部では需要が見込めそうです。
地方部でも、例えば長崎支店からは「長崎県は、全国に比べて人口減少が急速に進行しているが、都市部および周辺地域に限れば、一人世帯を中心に世帯数が増加していることを背景に根強い貸家需要がある」という報告があり、地方であっても「都市部」など利便性の高いところにはまだまだ需要が見込めます。
また、入居需要に影響を与えるものとして利便性の高さという要因も見過ごせません。名古屋支店からは、「愛知県は、自動車関連などの製造業が集積しているほか、近年は大型商業施設の開業や物流施設の新設が続いていることもあって、県内の大半の地域でワンルームマンションの需要が旺盛」という報告が上がっています。
賃貸住宅の建設が盛んな中で、地方都市でも入居需要が見込める地域はまだまだあるということです。そこを見極め、さらに空室リスクを回避する手立ても講じておく―。賃第貸住宅の安定経営には、そうした対応が欠かせません。
日常の行動様式から利便性をチェックする
さて、失敗しないエリア選びのポイントは、どこにあるのでしょうか。生活スタイルや好みによっても異なるので一概に言えない面もありますが、大きくは次の三つが挙げられます。
①利便性
②安全・安心
③快適性
誰もが、不便で不安で殺伐とした街には住みたくはないはずです。これらを具体的にどこで感じ、何を優先するかは人それぞれですが、大きな評価の視点としては共通なのではないでしょうか。
利便性とは、駅近などの交通利便性、通勤面の利便性、買い物の利便性、子どもの通園・通学の利便性などがあります。皆さんの日常の行動様式から、何の利便性を優先したいのかを整理した上で、具体的なエリアに関して〝便利かどうか〞をチェックしましょう。
どの利便性も、鉄道やバスなど交通インフラの整備・運行状況、商業施設をはじめとする生活利便施設や教育施設などの立地状況によって決まるので、エリアの良し悪しはおおまかには見極められると思います。