採算性が低く、業者が敬遠する「二項道路沿い」の土地
前回の続きです。
割安感のある土地は、まだ考えられます。二つ目は「二項道路に面した土地」です。「二項道路」とは、第7回ですでに説明したとおり、幅員4メートル未満の狭い道路です。
こうした道路に面する土地で、間口が比較的広い土地の場合、割安感が生じる可能性が見込めます。それはやはり、建築に制限がかかるため買い手が限られ競争相手が少なくなるからです。
ここで例示した土地の場合、買い手候補としてまず浮上するのは、不動産開発会社です。不動産開発会社が購入し、2分割して、建て売りの戸建て住宅を2棟建設する、という想定です。
ところが、その土地が「二項道路」に面しているとなると厄介です。
土地が二項道路に接している場合、前述のとおり道路の中心線からセットバックした部分の土地は道路とみなされ、建ぺい率や容積率を計算するための敷地面積からは除外されます。
つまり二項道路に面した土地には、そうでない土地よりも小さな建物しか建てられなくなってしまうのです。ここが不動産開発業者にとっては大きなデメリットとなります。事業として宅地開発を行い、値段を付けて売る以上、その土地の広さに対していっぱいに建物を建てなければ採算性が低くなってしまうからです。
加えて、開発にかかる時間の長さも開発業者に避けられる要因です。二項道路に面した土地は、特定行政庁から道路指定を受けて建築確認が可能となるのに相当の時間を要します。事業に着手してから建設、売却までのタイムラグが大きければそれだけコストがかかりますし、思わぬ事業環境の変化に見舞われるリスクも高まるため業者からは敬遠されるのです。
プロが避ける土地が、掘り出し物になることも
しかし、業者が嫌がる土地だからといって、個人にとっても条件の良くない土地だとは限りません。前述の理由から二項道路に面した土地は価格が安くなる傾向にあるので、賃貸併用住宅を建設するのに向いた土地を手頃な値段で手に入れられる可能性が出てくるのです。また、入居を急がない人であれば時間がかかることについては目をつむることもできるでしょう。
プロである不動産開発業者が避ける土地だとしても、発想を転換すれば個人にとっては思わぬ掘り出し物になることもあるのです。