前回は、高齢者の「退院判断」に細心の注意が必要な理由を取り上げました。今回は、高齢者医療と密接な「介護保険サービス」の種類と選び方を見ていきます。

訪問、通所、短期滞在…さまざまな介護サービスが存在

高齢者が要介護状態になったら利用できる介護保険サービスには、介護福祉施設などに入所する「入所系サービス」、老人ホームなどに入居する「居住系サービス」、そして在宅生活を支援してもらう「訪問系サービス」や「通所系サービス」、短期滞在系サービスといったさまざまなものがあります。

 

在宅介護で利用するサービスについては本書『医療・介護連携で実現する高齢者のための地域医療』の3章で紹介しますが、ここでは介護施設について説明していきます。

 

「介護施設」といっても、さまざまな種類があります。要介護度、居住地、居宅スペース、費用などは施設の種類ごとに異なり、利用者は自身の希望になるべく近い施設を選ぶことになります。

 

そのなかでもっとも重視されるのは料金面でしょう。高齢者本人の貯蓄や年金でまかなえる入所先を見つけられれば理想ですが、家族や本人の希望に反し、施設にかかる費用は決して安くはありません。その費用が払えず、苦しみながらも在宅介護を続ける家族も存在しています。

医療従事者は「患者に必要な環境」の選択を

医療と介護は切っても切れない関係にあります。

 

裕福な人も、公的扶助を受けている人も、誰もが「人間らしく」そして「その人らしく」高齢期を生きていける環境を整えていくために、医療従事者も介護保険サービスを理解し、患者に必要な環境を選択し、水先案内人となることが必要です。そして、医療法人や社会福祉法人は、これまで以上に組織を整備し、地域のために奉仕していかなければならないでしょう。

 

[図表]介護保険サービスの種類

※利用者負担額は目安。市区町村や事業所に寄って異なる。

出典:厚生労働省「平成27年度公的介護保険制度の今後の役割」
※利用者負担額は目安。市区町村や事業所に寄って異なる。 出典:厚生労働省「平成27年度公的介護保険制度の今後の役割」
医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

医療・介護連携で実現する 高齢者のための地域医療

佐藤 貴久

幻冬舎メディアコンサルティング

2025年には団塊の世代がすべて75歳以上となり、全国民の3人に1人が65歳以上になると予想されています。これまでと同じ医療体制を続けていては、高齢者は自分の望む最期を迎えられないばかりか、増える高齢者によって医療費が膨…

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