経済成長に伴って都市化が進むスリランカでは、一戸建てからコンドミニアム等の集合住宅へと、生活様式の転換が始まっています。また同時に、中流階級の拡大によって住宅市場にも変化が現れており、政府もこの流れを促進していくことを明言しています。

一戸建てから高層住宅へのシフトが進む

スリランカの建設業界は、ペント・アップ需要(※)に伴う中流階層向けの住宅ブームも予想され、活発な状況が続くことが期待されると、政府の都市開発責任者が伝えた。

 

「スリランカは国家として計画性の高い都市開発の推進を重要視しています。そのために全ての関係機関の連携を強化します」と都市開発庁長官のNayana Mawilmada氏が、アジア証券主催の建設業界フォーラムで述べた。

 

「都市の大転換の多くはプライベート・セクターの肩にかかっています。プライベート・セクターによって劇的な変化が起こされるでしょう。政府は一体となって、この動きを促進していきます」と同氏は言う。

 

同氏は「スリランカは未だ一戸建て住宅が主流な国なのです」と指摘したが、土地の制約が増え、人口密度も増し、土地価格が上昇するのに伴って、スリランカも一戸建てから高層の集合住宅へとシフトし始めてきている。また、個人所得の向上に伴って、高品質な住宅に対する需要が高まっており、それが住宅の新築を後押ししている。

政府は「土地取引の完全自由化」も検討

このようにスリランカの住宅市場は転換の兆しがみえ始めており、政府もまた住宅向上に向けて明確な目標を掲げている。

 

これまでスリランカ政府は、都市開発庁のような政府機関を通じて、低所得者向けの住宅政策に重点を置いており、一方、民間のデベロッパーは供給戸数の多い高級住宅市場に投資してきた。その結果、中流階級向けの住宅市場は無視されてきたのだが、それが今変化してきている。

 

またスリランカの住宅ローン残高は対GDP比で5%と他国と比較してとても低く、「惨めな数字だ」と同氏は述べており、スリランカ政府は土地取引の完全自由化とともに、住宅金融市場の改革を検討していることを明らかにした。

 

※ペント・アップ需要(pent up demand)
景気後退期に抑えられた需要が潜在的に繰り越されることで、景気の回復期において一度に顕在化する需要のこと。

この記事は、GTAC提携のスリランカのニュースサイト「EconomyNext」が2015年11月3日に掲載した記事「Sri Lanka middle-class housing boom to benefit construction business」を、翻訳・編集したものです。

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