株価の「暴騰材料」に合わせて売り方を変える手も
前回は、暴騰→半値押し→反発の後の値動きに、大きく3つのケース(ケース3は2パターンに分かれますが)があると説明しました。3つのケースが考えられる中で、どのように売り注文を出せば、得られる利益を最大限にすることができるでしょうか?
反発後の値動きが複数あるということは、売り方も1つだけでは不十分です。予想される値動きに合わせて、売り方を変えていく必要があります。
しかし、値動きを正確に予想することは困難です。さまざまなテクニカル指標を駆使してそれを予想する人もいるかもしれませんが、この連載ではもっとシンプルな方法で値動きを考えたいと思います。
それは、株価の暴騰材料に注目して、材料によって売り方を変えるという方法です。
そもそも、どのような材料が出ると株価は急激に上昇、暴騰するのでしょうか。2015年の1〜3月に株価が1.5〜2倍超に暴騰した銘柄の材料を、いくつかピックアップしてみましょう。さまざまな材料があることがわかるはずです。
[図表]「暴騰銘柄の急落後の反発」銘柄の「材料」例
暴騰の材料でよくあるものとしては、「業績の上方修正」や「好決算の発表」といった業績に関わるもの、「新商品の発売」や「新サービスの提供」「業務提携・資本提携」などの会社の事業に関わるものなどが挙げられます。
また材料は、常に企業側から発信したものとは限りません。たとえば、証券会社がその企業に対して高い格付け(レーティング)や高い目標株価の設定を発表した場合にも、株価が暴騰することはよくあります。
さらに、国会でカジノ関連法案が提出されると、ゲーム機器メーカーなどのカジノ関連銘柄が暴騰するというように、あるテーマや政策に関連した銘柄が何らかのきっかけで注目されて買いが集まることもあります。
こうした暴騰の材料を、「パッとしない」「しっかりとした」「かなり期待される」の3つに分け、それぞれに合った売り方をすることで、利益の最大化が目指せるのです。
大規模な自社株買いなどは「かなり期待できる材料」
では、どんな材料なら「かなり期待される」といえるのでしょうか。一概に、「この材料ならいい、これはイマイチ」と決めつけることはできませんが、もっとも期待できるのは、業績へのインパクトが大きい材料(大幅上方修正など)といえるでしょう。
特に、もともとPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低く割安な銘柄が、業績の拡大でさらに割安感が強まる場合には、株価は大幅な反発・上昇が期待できます。
▶「パッとしない材料」とは……
業績へのインパクトが小さく、ごく一時的な注目に過ぎないような材料
<例>
●株主優待の新設
●株式分割(インパクトのある分割であれば「しっかりとした材料」へ)
●物色の流れ(例:ゲーム関連で材料の出た銘柄があり同じゲーム関連銘柄として一緒に物色、低位株物色の流れに乗って注目など)
●業績への影響が小さいニュース
●目立った材料がない
▶「しっかりとした材料」とは……
業績へのインパクトがそこそこあるか、継続的に注目されるような材料
<例>
●業績の上方修正(大幅な上方修正なら「かなり期待される材料」へ)
●過去最高益など好決算の発表
●増配発表による配当利回りの上昇
●新たな事業分野への進出の発表
●売り上げや利益を大きく押し上げる新商品の開発・発売の発表
▶「かなり期待される材料」とは……
業績へのインパクトが非常に大きい材料、株価の割安感が強まるような材料
<例>
●大規模な自社株買い
●中小型企業の大型企業との資本業務提携
●業績の大幅な上方修正
●決算発表などでPER・PBRが下がり割安感が強まるもの
【注意点】 これはあくまでひとつの目安です。市場環境や銘柄ごとの特徴もあり、必ずこの分類に当てはまるわけではありません。