教育移住を通じて、世界に「ビジネス人脈」を築ける
日本よりも高額な学費と引き換えに、子どもを教育環境の良いハワイの学校に通わせるメリットはどこにあるのでしょうか。
私は、「子どもが教育移住を通じてビジネス人脈を手に入れること」だと考えます。
たとえば、どこの国にも中華街があり、賑わっていますよね。中国人は「華僑」といって、あらゆる国で中国人のコミュニティを成立させ、商売をしています。
その土地でビジネスをしていくには、やはりその土地のコミュニティに属していることが条件となるでしょう。
「中国人は子どもが3人いたら、1人は日本に、1人はアメリカに、1人はヨーロッパに留学させる」というような話を聞いたことがありますが、これも各国にコミュニティをつくりビジネスをしやすくする、したたかな華僑の戦略だと思います。
ハワイの学校には、世界各国の富裕層の子どもが集まっています。そこに子どもを通わせれば、自然と世界に人脈ができるのです。
息子の友人は元インドネシア大統領の孫!?
私の息子の例でお話しましょう。
息子と仲が良かった男の子は、インドネシアから父子留学でハワイに来ていました。お父さんは国費でハワイ大学に留学していたのです。妻と娘は国に残し、父と子で7年くらいハワイに住んだあと、インドネシアに帰っていきました。
その後、息子が「友だちの家に遊びに行きたい」と言うので、一人でインドネシアに行かせ、そのお宅に2週間ほど滞在させてもらったのです。
帰ってきた息子に「どうだった?」と聞いたところ、「大理石のお城みたいな家だった!」と言うのです。「友だちの家には、お手伝いさんが何人もいて、運転手さんもいて、僕たちはずーっと運転手さんにあちこち連れていってもらったんだよ。お父さんはバリにホテルを4軒も持っていて、おじいちゃんが元インドネシア大統領だったんだって」
息子と友だちは7年間ずっと遊んでいたのに、そんなことはまったく知りませんでした。彼らはハワイにいるときは、むしろ庶民的な感じの生活をしていました。
どうやら彼のお父さんは、都市開発やホテル業を学ぶために、ハワイ大学に国費で留学していたようです。ハワイはリゾート地として世界的に有名ですから。
このように、本国に帰ると「えーっ!」と驚くような、もの凄く質の良い子たちが、普通にハワイの学校に留学しているのです。
だから、もし息子がインドネシアで事業をやりたいと思ったら、その友だちを頼ればいいわけです。このように、世界にビジネスのネットワークができるというのが、ハワイ教育移住、ハワイ留学の大きなメリットだと思います。
子どもを通した関係性は、親同士の信頼も発展しやすい
また、子どもを通しての関係性は、その親にとってもファミリーフレンドといった信頼関係にまで発展しやすいのです。
このようなつながりというのは、ビジネスだけで会った関係とはまったく違います。子どもを見れば、親がどんな人かもわかりますし、それこそが一生涯を通じての本物の人脈といえるのではないでしょうか。
実際、私が以前、インドネシアの製造工場と取引したいと思ったときに、先ほどの息子の友だちのお父さんが、信頼できる業者を紹介してくれました。
子どもたちのコミュニティは、子どもの未来だけでなく、親にとっても人脈の巣のようなもので、ビジネスを広げていくのに非常に役に立つことがおわかりいただけたと思います。
子どものときに入ったコミュニティで環境が変わり、人生も変わってしまうので、親としては「学校選び」は重要な課題なのです。
私は息子をハワイにある私立の小学校から高校までの一貫校に入れています。ハワイは小さい島ですから「誰の紹介か?」が非常に重要視され、特にビジネスの世界では「学校歴」を必要とするところがあるからです。
日本での学校歴といえば、慶應義塾大学の幼稚舎が代表的な例です。
同じ「慶應大卒」であっても、幼稚舎を出ていない限り、幼稚舎コミュニティに入ることができません。
こうして考えると、高い授業料は、学歴を得るだけではなく、将来のビジネスパートナーになる学友とその人脈を手に入れるために払うともいえるのです。そして学校歴によって、子どものみならず、親の良い人脈までつくることができるとなれば、十分にリターンが期待できる投資です。
親は学費を払いながら、子どもだけでなく、自分の将来にも投資している感覚です。良い人脈がどれほどビジネスで役に立つかは、ビジネスを経営している方には実感していただけるのではないでしょうか。
私が一人でアメリカに移住してつくったネットワークの人脈の質と、子どもの教育でつながってきた人脈の質は、まったく違っただろうと思います。
子どもが素晴らしい人脈をつくって、結果的に、私も恩恵にあずかっていると思います。
アメリカは学歴主義であり、学校歴による卒業生のコミュニティが強い結束力を持っているので、日本人が大人になってから入ろうとしても、なかなか入りにくいのが現実です。
しかし、日本人でも、子どもの教育を通してなら、富裕層のコミュニティに入ることができます。このコミュニティこそ、親子で得た人脈とコネであり、将来的に世界のネットワークへとつなぎ、ビジネスを発展させていく基盤となるのです。
アメリカでの就職には、大学OB・OGの人脈が重要
アメリカでは、日本のように新卒者は月に一律16万円などという初任給設定がありません。プロ野球選手の年俸制のような感じで、同じ仕事の内容でも、この人は年収300万円、この人は600万円という能力に応じた成果主義です。
そもそも新卒採用というもの自体なく、ヘッドハンティングの国ですから、たとえどんなに良い大学を出ていても、職務経験のない、即戦力とならない人材は採用してもらえません。
だから、学生時代にインターンなどで、自分のやりたい職業の職務経験を積んで、卒業後の就職に備えるのです。その際、インターンとして雇ってもらうのにも、大学のOBやOGの人脈が活きてきます。
将来のビジネスには、どこまでも学校歴が影響を及ぼしていくのです。