窒素分を含まないため、酸性雨対策に有効
ガソリンや軽油ではなく電気を燃料として走る電気自動車や、環境に配慮したまちづくりの一環として注目されているスマートシティなど、私たちの生活は、いまやエコロジー抜きに語ることができなくなっています。
プロパンガスについていえば、プロパンガスの魅力の中にはクリーンエネルギーとしての一面があります。
プロパンガスは、地球温暖化などの原因とされている二酸化炭素の排出量がほかの化石燃料と比べて少なく、窒素分を含んでいないため、酸性雨対策にも有効なエネルギーであるとして期待されています。
地球温暖化については、あらためて述べるまでもありませんが、大気中に放出された二酸化炭素の影響によって地球の温度が上昇することをいいます。人類が日々排出し続けている二酸化炭素などによって、地球温暖化は今も進行を続けています。
この二酸化炭素などの温室効果ガスを削減するためには、環境への負担が小さいクリーンなエネルギーを効率的に利用することが必要になります。そこで期待されているのが、環境負荷の小さいプロパンガスのエネルギーなのです。
ガソリンや灯油に比べ、二酸化炭素排出量が少ない
では、どのくらいクリーンなのでしょうか。それは、各エネルギーの二酸化炭素排出原単位を比較することでわかります。
[図表1]エネルギー別の二酸化炭素排出原単位(原油を1としたとき)
プロパンガス燃焼時の二酸化炭素排出原単位は、原油を1とした場合、0.86となります。これは、ガソリンや灯油などの石油製品の0.99や0.98と比べて二酸化炭素排出量が少なく、化石燃料の中でもトップクラスの環境性能を持っていることを示しています。
一方で、都市ガスの二酸化炭素排出原単位を見てみると、0.73となっており、プロパンガスよりも二酸化炭素の排出量は少なくなっています。しかし、ここで思い出していただきたいのが、先述したカロリーの差です。プロパンガスの1立方メートルあたりの熱量は都市ガスと比べて約2倍のカロリーです。たとえば、やかんでお湯を沸かそうとしたとき、プロパンガスで1立方メートルのガス量で沸くのであれば、都市ガスなら約2立方メートルのガス量が必要となります。つまり、プロパンガスと都市ガスだけを比較すれば、同じ量のお湯を沸かすために排出する二酸化炭素の量は、プロパンガスのほうが少ないのです。
日本のタクシーの約9割はプロパンガスで走行
またLCI分析(Life Cycle Inventory)という方法で見ても、プロパンガスは都市ガス、LNGと比べ、燃焼時の排出量は大きいものの、合計の排出量では、都市ガスにまったく引けをとらない、クリーンなエネルギーであることがわかります。
[図表2]エネルギー別の二酸化炭素排出量(LCI分析による)
LCI分析は、製造に必要な原材料の採取から、廃棄されて自然に戻るまでのライフサイクルすべての過程において、二酸化炭素などの環境負荷項目をどのくらい消費・排出するかを推定評価したもので、製品ごとの環境性能をより厳密に比較することができる手法です。
そして、この環境性能にすぐれたエネルギーであるプロパンガスが、最もその優位性を発揮している製品のひとつが、自動車です。特にタクシーは、長い間LPガス車が主流になっており、近年も日本のタクシーの約9割がプロパンガスで走行しています。