日中は仕事や勉強で忙しい若者の住宅需要を満たすのは、1室10~20㎡程度のコンパクトアパートです。本連載では、コンパクトアパート投資における、物件選びのポイントや戦略を解説します。

首都圏でも厳しさを増している賃貸住宅経営だが…

いまやアパートや賃貸マンションなどの賃貸住宅市場は、人口の多い首都圏でさえ厳しさを増しています。ましてや、地方ではごく限られたエリアでしか今後は賃貸住宅経営は成り立たないと思います。

 

では、賃貸住宅経営はもう無理なのでしょうか。

 

私はそうは思いません。賃貸住宅経営は、会社経営と同じ事業であるとともに、株式などのような投資の一面を持ちます。

 

投資の世界には、「人の行く裏に道あり花の山」という格言があります。みんなと同じことをしていたのでは大きな成功は得られません。むしろ、他人とは反対のことをやったほうが、うまくいく場合が多いという意味です。

 

確かに、多数派と同じように考え、同じように行動すれば安心です。しかし、人並みにやっていたのでは、うまくいっても人並みの結果しか得られないでしょう。むしろ、最近の賃貸住宅市場では、他人と同じことをしていれば厳しい競争に巻き込まれ、赤字に苦しむことになりかねません。

会社経営同様「厳しい競争」を避けるのが成功の秘訣

では、どうすればいいのでしょうか。

 

そもそも賃貸住宅経営は、投資であると同時に、長期的な事業であるという意味で会社経営と同じです。

 

会社経営ではどのように事業を展開していくかを判断するにあたって、マーケティング戦略を立てます。自社はどの市場で、どのような顧客に対し、どんな商品やサービスを提供して競合に打ち勝っていくかを考えるのです。

 

マーケティング戦略には様々な理論がありますが、その中で私が注目しているのが「ブルー・オーシャン戦略」です。

 

この理論では、多くのプレイヤーがひしめき合い、顧客の奪い合いが繰り広げられる既存の市場を「レッド・オーシャン」と呼びます。

 

事業のやり方はおおむね同じなので、顧客に提供する価値とコストの間にはトレードオフの関係が生まれます。「高くて良いもの」か「安くてほどほどのもの」か、という二者択一です。高機能、高品質で差別化するか、低コストの安さ重視でいくか、というケースが目立ちます。

 

一方、むちゃな競争を仕掛けてくるようなライバルは見当たらず、思い通りに事業を展開することができるような市場を「ブルー・オーシャン」と呼びます。

 

「ブルー・オーシャン」では、既存の市場とは差別化された顧客に焦点を当て、新しい需要を創出することが鍵を握ります。それには、付加価値と低コストをともに追求し、両立させることが不可欠です。そのことによって、競争のない新しい市場空間を切り開くことができるのです。

 

「レッド・オーシャン」と「ブルー・オーシャン」。どちらがビジネスを展開していく上で有利かは明らかでしょう。賃貸住宅経営においても、私は「ブルー・オーシャン」を目指せばこれからも十分、成功するチャンスがあると考えています。

 

[図表]レッド・オーシャン戦略とブルー・オーシャン戦略の比較

※出典:W・チャン・キム+レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン戦略』(ランダムハウス講談社)
※出典:W・チャン・キム+レネ・モボルニュ著『ブルー・オーシャン戦略』(ランダムハウス講談社)
「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

山上 晶則

幻冬舎メディアコンサルティング

2016年3月に不動産調査会社「タス」が行った調査によると、首都圏賃貸アパートが「空室率30%超」となっています。今後もさらに日本の人口減少は続き、その一方で貸家着工数は増え続けているため、多くの不動産オーナーが空室…

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