日ごろの生活習慣の把握が、施設選び等をスムーズに
前回の続きです。
3.親の生活習慣を把握
介護サービスを利用する際に、ケアマネジャーが生活状況について本人への聞き取り調査をします。
本人がうまく話せない場合は家族から話を聞くことになりますが、家族が本人の生活歴や趣味、食べ物の好み、1日の生活パターンなどについて「あれ、どうだったかな?」としっかり把握していないケースが非常に多いのです。とくに親と離れて暮らしている場合、最近の状況が分からないことが多々あります。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)などの施設に入所する時は、普段の生活習慣が分かっているほうがスムーズですし、本人が希望しない、または本人に合わない介護サービスをあらかじめ外すこともできます。普段から注意して生活習慣を把握しておくといいでしょう。
4.「介護が必要になる兆候」を見逃さない
遠方で暮らしている子どもが久しぶりに実家に帰ったところ、親の認知症が進み、部屋が荒れ果てて大変なことになっていたというケースがよくあります。また同居の場合でも、毎日顔を合わせているからこそ変化に気づきにくく、認知症の兆候を見逃しやすいということもあります。
介護が必要になるほどの心身の衰えや認知症の兆候には、「食欲が落ちた」「熟睡できない」「壁紙がはがれたり、ふすまが破れたりしていても気にしなくなった」「床にごみが散乱している」「昔と比べて外出が減り、家に閉じこもりがちになった」「電話するたびにまったく同じ話をくり返す」「ものをよく落とす」などがあります。
また、加齢によるもの忘れが自覚的で日常生活に支障がないのに対して、認知症は「もの忘れの自覚がない」「体験したことの一部ではなく、すべてを忘れてしまっている」「判断力が低下して日常生活に支障をきたす」などの特徴があります。
年を取ったからしかたがないと考えず、こうした兆候を見逃さないで医療機関の受診や地域の介護予防サービスの利用につなげるようにしましょう。
そうすることで親の健康寿命を延ばし、さらには介護にかかる費用も抑えることができます。
自治体で実施している「見守りサービス」等をチェック
5.地域の高齢者サービスをチェック
まめに実家の様子を見に帰ることができればいいのですが、実家が遠方にある場合などはそうもいきません。親の様子が心配な場合は、帰省時に近隣の人たちにあいさつして「母は高齢で足が悪いものですから、気にかけてくださればありがたいです」などと伝えておきます。
また、なにかあったときに連絡をもらいたい場合は「母がご迷惑をおかけするようなことがあれば、私からも注意しますので」などといって自分の連絡先を渡しておくといいでしょう。また、自治体で実施している高齢者対象の見守りサービスや配食サービスを利用して、定期的に様子を見に行ってもらうこともお勧めします。
そして、様子がおかしいと感じたらすぐに、自治体の窓口や地域包括支援センターに相談するようにしましょう。
[図表]介護で慌てないためのチェックリスト