担当者が「自分以外に仕訳は不可能」と思い込むと・・・
中小企業の経理部門の改善が進まない理由のひとつに業務の属人化があります。社内にマニュアルが整備されておらず、ベテランの経理担当者の頭のなかだけに、基準が存在し、その基準にしたがって経理業務が進んでいくわけです。
仕訳を例に考えてみましょう。たとえば、ある会社で、営業マンが取引先の方と、打ち合わせを兼ねて昼食をしてきた領収書があるとします。これは交際費になるのか、会議費になるのか、といった違いを、その会社の経理担当者は正確にその都度区別して仕訳してくれています。
またこの経理担当者は、中小企業法人の場合、交際費が800万円までしか経費として計上できないことも知っており、交際費がその上限に近くなったときは、会議費に振り替えてくれたりするという知恵ももっています。
ですが時には、その経理担当者でも、10件に1件ぐらいは、どちらになるのか悩むこともあり、その都度判断しています。そのため、自分以外には、自社の仕訳は不可能だと思い込んでいます。
しかし、この会社の社長の立場からすれば、正確に仕訳が行われるかより、一人の営業マンがいくらぐらいの経費を使っているかがわかれば十分だったりします。
それでは、このようなケースのスリム化は、どのように行っていけばいいのでしょうか。
ソフトの仕訳辞書に「仕訳パターン」を学ばせればOK
このケースでは、営業マンが打ち合わせに使った飲食費に対して、価格の上限を決め、それよりは交際費、以下は会議費というように、できるだけイレギュラー対応を減らした「パターン処理」を導入するとよいでしょう。
すでに会計ソフトを導入している会社なら、仕訳辞書に、仕訳パターンを一度、覚えさせれば誰でも簡単に仕訳することができるようになります。
このような「ルーティン化」が構築できれば、ベテラン担当者が、ややこしい仕訳に頭を悩ませることもないので、パートタイマーに記帳業務を移すことができるようになります。
イレギュラー対応を減らし、ルーティン化に成功すれば、ベテラン社員は、資金繰りなど、より高度な業務に集中してもらうことができ、結果、社長さんが楽になるのです。