「完了件数 ÷ 作業時間」で作業効率が明確に
業務量の集計については、以下の五つを「業務名」として「担当者」「記録者」「作業時期」「作業時間」「完了件数」の記録を進めていきます。
❶記帳 取引内容を会計処理し会計帳簿の作成を行う
❷入金管理 請求書発行、売掛管理、入金消し込みを行うといった、入りの管理
❸支払管理 請求書受取、未払い・買掛管理・振込といった、出の管理
❹給与計算 正社員、短期雇用者の給与計算
❺経費精算 仕入費用、外注費用、旅費・交通費、広告費など領収書がある経費の計算
これら「記帳」「入金管理」「支払管理」「給与計算」「経費精算」の五つの項目に対して、さらに細かい項目を設け、記録していくかどうかは、皆様の会社によって事情が異なりますので、適宜ご判断ください。
ある程度、集計がまとまったところで「業務名」の追加、変更を行ってもいいでしょう。
社長である読者の皆様は、この記録を進めていき、業務時間と作業効率の表(下記図表)を作成することによって、どの業務に誰が役割をふられ、どのくらいの作業時間をかけているか見えるようになります。
この表が作成できると、作業効率が明らかになります。
作業効率は、完了件数 ÷ 作業時間という式で出すことができます。
すると、経理担当者がAさん、Bさんの2名いた場合、どちらが効率的に、作業を進めているかが明らかとなります。
AさんがBさんに対して80%ほどの作業効率しかないのであれば、あと20%アップするために、どのようなスキルが必要になるのかが明らかになり、改善が期待できるというわけです。また複数人の経理担当者がいなくても、自分の作業効率が明らかとなりますから、自身の作業効率の5%アップ、10%アップという目標を立て取り組んでいくように促すこともできます。
作業時間の多さではなく「完了件数」を重視
なお、この表で重要なのは、あくまでも作業効率であり、個々の作業にどれだけの時間がかかっているかは、あまり重要ではありません。ここまで、何度か述べているように、皆さんの会社の業種によって大きな違いがあるからです。
たとえば、小売やサービス業は、売上点数が多い業種ですから、売上発生後の、入金管理にかかる負担が最も重くなります。
メーカーなど、原材料の仕入れ点数が多い業種では、原価管理など、管理会計の側面で仕事が増えているはずです。
IT系のシステム開発や、飲食など人材を多く使う業種では、給与計算にさかれる時間が多くなってくるはずです。
いずれにせよ、作業時間の多さが問題ではなく、ある一定の時間で、どれだけの処理件数をこなせたか、という点を重視して、経営者は経理部門の業務改善を進めていきましょう。
[図表]経営の作業効率を表にして「見える化」しよう