今回は、被相続人が「大韓民国」国籍の場合の準拠法について説明します。※本連載では、東京弁護士会法友会の編著書、『所有者不明の土地取得の手引―売買・相続・登記手続』(青林書院)の中から一部を抜粋し、不動産の相続について、相続人が外国人である場合や、被相続人が外国人である場合の対応について解説します。

原則は「死亡当時被相続人の本国法」による

⑴ 概 説

 

大韓民国国際私法49条(相続)

1項 相続は,死亡当時被相続人の本国法による。

2項 被相続人が遺言に適用される方式により,明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは,相続は,第1項の規定にかかわらず,その法による。


1号 指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。ただし,その指定は,被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限り,その効力がある。

 

2号 不動産に関する相続に対しては,その不動産の所在地法。

 

以上から,韓国籍者については,大韓民国国際私法49条2項に基づき,準拠法を日本法と指定する遺言がない限り反致は生じず,大韓民国民法第5編相続が準拠法となる。
韓国相続法については,日本法と考え方自体が大きく異なるわけではないが,例えば,相続順位,代襲相続制度,法定相続分,遺留分などについて細かな相違点がある。

相続に関する文献は豊富で、ネット検索も容易

⑵ 調査方法

 

調査方法に関しては,文献も豊富にあり,インターネット上においても韓国の相続に関する記述を容易に検索することが可能である。

 

代表的な文献としては,在日コリアン弁護士協会編著『Q&A新・韓国家族法〔第2版〕』(日本加除出版,2015),「定住外国人と家族法」研究会編著『「在日」の家族法Q&A〔第3版〕』(日本評論社,2010)などがあり,条文も掲載されている。

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    本連載は、2017年5月9日刊行の書籍、『所有者不明の土地取得の手引―売買・相続・登録手続』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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