遺産は国内不動産…被相続人が「北朝鮮国籍」の際の準拠法

今回は、被相続人が「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)国籍」の場合の準拠法について見ていきます。※本連載では、東京弁護士会法友会の編著書、『所有者不明の土地取得の手引―売買・相続・登記手続』(青林書院)の中から一部を抜粋し、不動産の相続について、相続人が外国人である場合や、被相続人が外国人である場合の対応について解説します。

朝鮮民主主義人民共和国家族法附帯決定3項の効力

古くは,朝鮮民主主義人民共和国家族法附帯決定3項が「朝鮮民主主義人民共和国家族法は,外国においても永住権を取得して暮らす朝鮮公民(大部分が朝鮮総連傘下の在日朝鮮人)には,これを適用しない。」(『朝鮮民主主義人民共和国主要法令集』163頁(日本加除出版,2006))としていた。

 

しかし,1995年9月6日に同国対外民事関係法が制定されて,家族法附帯決定3項の効力が問題となった。そして,『朝鮮民主主義人民共和国法典』(2004年8月発行)(限定出版)は,朝鮮民主主義人民共和国により,附帯決定国最高人民会議常設会議1990年10月24日第5号決定による「附帯決定1乃至4」は削除されている。

 

不動産については日本の法律が適用

〈北朝鮮対外民事関係法45条〉

 

「不動産相続に対しては相続財産がある国の法律を,動産相続に対しては被相続人の本国法を適用する。ただし,外国に住所を有しているわが国の公民の動産相続に対しては被相続人が住所を有している国の法律を適用する。

 

外国にあるわが国の公民に相続人がない場合,相続財産はその公民と最も密接な関係にあった当事者が継承する。」

 

以上から,在日朝鮮人のうち,北朝鮮の法律が適用される場合であっても,不動産については日本法への反致となり,日本民法が適用されることになる。実務上は,被相続人の外国人住民票謄本(旧登録原票閉鎖記載事項証明書),日本在住の相続人の全員の外国人住民票,相続人の居住証明書(共和国行政機関発行),相続人全員の出生届記載事項証明書,在日相続人全員の印鑑証明書及び在日朝鮮連合会の相続証明書などが必要となる。

 

本連載は、2017年5月9日刊行の書籍、『所有者不明の土地取得の手引―売買・相続・登録手続』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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法友会は、昭和21年12月14日に創立された東京弁護士会内の任意団体であり、現在は、約2600名の会員数を擁する。政策提言、若手の業務活動の拡大、法律相談会の開催、出版など幅広い活動を積極的に行っている(写真は編集担当・黒須克佳弁護士)。

著者紹介

所有者不明の土地取引の手引 ―売買・相続・登記手続

所有者不明の土地取引の手引 ―売買・相続・登記手続

東京弁護士会法友会

青林書院

全国に点在する所有者不明土地。手続上の諸問題につき、相続、売買、登記、税務等の実務上の論点を整理した手引の決定版!取得したい土地の所有者の相続人が多数の場合や相続人の中に外国人がいる場合の対策についても解説。

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