被相続人が日本人の場合、日本法が準拠法となる
総論
被相続人が日本人の場合,相続人が外国人であっても,通則法36条により日本法が準拠法となる。
次のような場合,被相続人が日本人で相続人が外国人となる。①日本人が国際結婚した後,死亡した場合,②外国人が帰化した後,死亡し,外国籍のままの子がいる場合,③日本人女性が外国人の男性との間に子をもうけた後,死亡しているが,子をもうけたのが国籍法の改正前で,子が日本国籍を取得していないとき(他に婚外子のケースも想定される),④被相続人の外国籍の親又は兄弟姉妹が相続人となる場合で,被相続人が死亡前に帰化している場合,あるいは親又は兄弟姉妹が国籍を離脱している場合などが考えられる。
戸籍制度が基本的にない外国…存否を確かめるには?
相続人の確定
外国には基本的に戸籍制度がないので,相続人の存否は,一義的に明らかにできるわけではない。出生証明書などの資料を使って被相続人との関係を明らかにするものと思われるが,最終的には各相続人から相続人は自分たちのみであり他に相続人はいない旨の当該外国官憲の認証ある宣誓供述書をもって確定するほかないものと思われる(前掲山北・140頁)。
相続人について調査したものの,その所在が不明である場合(例えば,日本人である被相続人の除籍謄本に配偶者又は子として記載されている人の国籍が外国籍であるが,その人の所在がわからない場合)は,日本人の場合と同様に失踪宣告や不在者財産管理人制度の利用を検討することになる。