前回に引き続き、クリニックを開業するまでの流れを見ていきましょう。今回は、適切な開業時期等も併せて説明します。

患者が増える10月から11月くらいの開業がベスト

前回の続きです。実際の、開業までのスケジュールは、クリニックの開業からさかのぼるかたちで決定していきます。

 

というのも、オープン当初は口コミもなく、あまり患者が集まらないので、一般的に患者が多くなる時期に開業しておきたいからです。

 

クリニックも普通のお店と同じく、1年を通して繁忙期と閑散期があります。たとえば内科であれば、風邪やインフルエンザにかかる人は冬に多くなります。寒くなると、体力が落ちて、ウイルスにやられる人が多くなるからです。また、ウイルスは熱に弱いので、夏にはあまり流行しません。ですから、10月から11月くらいに開業するのが良いでしょう。

 

一方、眼科や歯科は、夏休みなどの長期休暇の時期に、眼鏡作成や歯列矯正などの大きな治療を受ける子どもが増えます。ですからその前の5~6月に開業しておきたいものです。

 

開業時期を先に決めてしまえば、そこから逆算して、今何をやっておかねばならないのかが見えてきます。

自分のクリニックの「経営方針」を固めておく

<開業の流れ>

 

①開業の決意を固める

すでに開業している人に話を聞いたり、本書のような本を読んだりして、開業するかしないのかの決断をします。決意のないまま物事を進めても、中途半端になってやりとげることはできません。まず、開業するという決心が必要です。

 

②経営と医療の方針を考える

開業とひとくちにいっても、さまざまな形態があります。また、医師が開業に踏み切る動機としては、自分の求める理想の「医療」、「働き方」、「収入」を実現するためというのが大きいです。

 

そこで、自分のクリニックを開業したら、そこでどのような「医療」を実現したいのか、またどの程度の「働き方」で、どの程度の「収入」を得たいのかを考えておきましょう。これを経営方針と呼びます。経営方針は、開業の準備を進めていく中で修正されていくものなので、はじめはざっくりで構いません。

 

③開業する場所を探す

クリニックの経営は、どうしても立地に左右されます。地域密着医療である市井のクリニックでは、高齢者の多い地域であれば高齢者向けの医療、子どもの多い地域であれば子ども向けの医療が求められるからです。そのため、開業の場所を最初に決めなければ、計画が具体的になりません。

 

開業の候補地を実際に探してくれるのは不動産屋です。自分で実際にいくつかの不動産屋を回って、どのような物件があっていくらくらいかかるのか、相談してみましょう。

 

また、後述しますが、医師の開業を助けてくれるコンサルタントを名乗る業者がたくさんあります。その中には、医療機器や医薬品の販売会社の営業マン、建設会社の営業マン、税理士や公認会計士など、将来的にそのクリニックとのビジネスを築くための地歩として、無料で相談に乗ってくれる人がたくさんいます。そのような人たちに、物件を探す手伝いを頼んでもよいでしょう。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法

市川 直樹

幻冬舎メディアコンサルティング

勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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