多大な時間を要する場合もある「開業場所の選定」
では、実際にどのような流れで開業するのかを見てみましょう。
開業をしようと考えてから、実際に話が具体的になるまで、たいていの場合は1年くらいの時間がかかります。というのも、どこでどのようなかたちで開業するのか、適切な立地を見つけられるのかとなると、そう簡単には決まらないからです。
中でも、医師の皆さんが迷われるのが開業場所の選定です。多くの人は、最初は、出身地、居住地、勤務地など、地縁のある場所で探そうとしますが、それらの地域に、開業にぴったりの候補地がすぐに見つかるわけではありません。
また「帯に短し、たすきに長し」で、どんなに探しても、100%満足する物件が見つかることもありません。そのため、優柔不断になって、いつまでも具体的な計画に踏み出せないという場合も多くあります。
開業を計画し、実際にオープンするまで2~3年は必要
しかし、適切な物件が見つかったからといって、それで終わりではありません。
その地域では、どのような患者がどのくらいいるのか。どのようなかたちで集患をするのか。自分のクリニックの売りは何なのか。他のクリニックとの差別化はどうするのか。スタッフはどれくらい必要で、給料はいくらに設定するのか。
クリニックの設計はどのようにするのか。どんな機材がどれだけ必要なのか。これらはすべて、医師の経営方針に関わってくることなので、計画段階で決めておかねばなりません。
また、地主や建設会社と契約を行ったからといって、それで生活のすべてを開業準備にささげられるようになるわけでもありません。
現在の勤務先があるのならば、そこに対しての義理もありますし、自分の診ている患者への責任もあります。1カ月や2カ月ですぐに退職できるわけではないのです。
もちろん、クリニックの建設や、スタッフの募集や教育にも時間がかかります。ですから、開業を考えてから不動産の契約までが約1年~1年半、そこから現在の勤務先に退職意向を伝えて実際に辞めるまでも約1年~1年半かかると見ていいでしょう。
つまり、開業を考えてから、実際に開業するまでに、2~3年もの時間が必要なのです。
この話は次回に続きます。