建物については修繕費なども必要となってくるが・・・
毎月の収支を比較したのが以下の図表になります。
[図表1]土地を借りて、建物は自分で建てる場合の収支シュミレーション
まず、土地を借りてその上に自分でクリニックを建てる場合は、土地の賃料とクリニックの建設費がかかります。この場合では、クリニック建設費は融資で賄い、毎月70万円+利息分の返済をしていくスタイルをシミュレーションしています。
すると人件費や賃料などを引いた利益は、季節によって患者数が推移するとはいえ毎月760万~1300万円程度確保できていることがわかります。
もっとも、融資の返済が終われば毎月の負担は土地代のみになるため、さらに利益を上げることができますが、やがてクリニックの修繕が必要になる時期がやってきます。その時に困ることがないよう、積立などをしておくとよいでしょう。
また融資に頼らず自己資金で建てる場合も、毎月の土地代のみの負担で済み、クリニックの建物も毎月減価償却していくことができます。
自己負担や融資等のリスク負わずに済むサブリース方式
その一方、サブリース方式では、土地と建物を地主から借りるため、融資の返済は必要ありません。毎月の賃料だけで済みます。その分家賃は土地を借りるだけの場合よりも高くはなりますが、結果としては「土地を借りてその上に自分でクリニックを建てる場合」に確保できる利益と大きな差がないことがわかります。
[図表2]新たに建てた建物と土地を借りた場合の収支シュミレーション(サブリース)
自己負担や融資といったリスクを負いたくないのであれば、こうしたサブリース方式は非常に有効だといえるでしょう。
もう少し細かく見てみると、まず、クリニック開業に適した土地を探して、地主と交渉して賃貸借契約を結ぶところまでは、どちらも同じです。借りた土地に自分で建てる場合は、あとは建設会社との交渉になりますが、土地の所有権が地主にあるので、そちらとの相談も必要になります。
一方、地主に建物を建ててもらう場合には、どのような建物を建ててほしいのか、その後の家賃契約はどうするのか、細かな条件を詰めることが必要です。この折衝を一人で行うことは難しいので、通常は仲介役の運営会社(管理会社)が間に入ります。
運営会社は、地主に対しては家賃保証をする一方で、医師に対しては「どのようなクリニックを作りたいのか」の希望を細かく聞いて、地主や建設会社との間を取り持ちます。
自分で建てる場合と、地主に建ててもらう場合(サブリース契約)の、どちらを選んだ方がよいかは、それぞれの条件と環境によります。どちらの方が自分の状況にマッチするのかを検討し、理想の建て方を選ぶようにしましょう。