費用は居住にかかわらず、持分に応じて負担
不動産を所有している場合、その維持管理に必要な修繕や改装等のために様々な費用が発生することになります。共有名義不動産では、こうした不動産の管理等に要する費用やその他の負担はどのような取り扱いとなっているのでしょうか。
この点に関しては、民法がいくつかの決まりを定めています。まず第一に、各共有者は、その持分の割合に応じて共有物の管理費用を支払い、共有物に関するその他の負担をしなければなりません。
この管理費等に関する義務は、共有名義不動産に住んでいない共有者に対しても課されることになります。「住んでいないのになぜ?」と思うかもしれませんが、マンションの管理費をイメージしてみてください。マンションを所有している以上は、たとえそこに住んでいなくても、管理組合から管理費を請求されるはずです(ちなみに水道光熱費は共有物の負担には該当しません)。
支払義務を果たさない共有者を切る「強制買取制度」も
そして、第二に、共有者が1年以内にこの義務を果たさないときには、他の共有者が相当額の償金(金銭)を支払ってその者の持分を取得することができます。
共有物に関して負担すべき費用を支払わないような人と一緒にモノを共有しているのは、他の共有者にとって気持ちのいいことではありません。そこで、費用を支払わない人を共有関係から切り離すことを可能とするために、このような「強制買取制度」が認められているのです。
なお、他の共有者に対して債権を有する共有者は、その特定承継人(共有持分を譲り受けた人など)に対してもその権利を行使できます。たとえば、甲不動産の共有者であるXがその管理費を支払わないまま、第三者であるBに自己の持分を売却した場合、甲不動産の他の共有者たちはBに対して「Xの支払っていない管理費を払え」と請求することができるのです。