仲介業者、コンサルタントの中には注意が必要な者も…
ところで、本場の伝統的なプライベートバンクと取引しようとする際、ぜひ注意してほしいのは間に入る日本人です(もちろん外国人の場合もあります)。具体的には、仲介業者・コンサルタント、さらにいうとプライベートバンクにいる日本人バンカーも、です。
仲介業者・コンサルタントを一概に否定するわけではありませんが、中には怪しいところもあるようです。少なくとも、「万が一、この仲介者が消えたら、どこに、誰に相談やクレームを持ち込めばいいのか?」ということを常に意識しておくことです。
その点、仲介業者・コンサルタントのベースが日本国内にある場合、海外にいる場合より相談やクレームはつけやすいはずです。さらにそれが金融庁に登録しているような会社の場合はより安心感が増します。
一方、プライベートバンクと直接やり取りすればそれで安心かというと、実はそうでもありません。
かつて、スイスやリヒテンシュタインなど本場のプライベートバンクで、そこに勤務する日本人バンカーが日本人の顧客の資産を持ち逃げしたケースがあります。そうした被害に遭うのは多くの場合、英語が苦手でそのバンカーをすっかり信用した資産家や富裕層です。
当然、そういうバンカーを雇っていたプライベートバンクに責任がありますが、英語が苦手でうまくやり取りできず、泣き寝入りすることになったりするケースも見られます。
本場の伝統的プライベートバンクだからなんでも任せて安心、というわけにはいきません。プライベートバンクと直接やり取りする場合も、経営者と会って、直接連絡できるような関係を作っておくべきです。
残念なことではありますが、海外にいる日本人には、十分な注意が必要です。
最も危険なのは「海外在住の仲介業者」とのやりとり
まとめると、プライベートバンクと取引を始め、続けていく時には、
①プライベートバンクのバンカー(海外在住)とやり取りする場合
②プライベートバンクのバンカー(国内在住)とやり取りする場合
③仲介業者やコンサルタント(海外在住)を通してやり取りする場合
④仲介業者やコンサルタント(国内在住)を通してやり取りする場合
⑤運用会社(金融庁に登録している国内在住)がプライベートバンクと提携している運用委託先(エクスターナル・アセット・マネジャー)である場合
の5種類があります。
実は、海外在住のプライベートバンカーが日本に来て営業することは金融商品取引法で禁じられています。営業ではなく、セミナーを行うためと言ったりすることが多いのですがグレーゾーンです(①のケース)。
②は安心に見えますが、国内のバンカーが海外(本店)に口座を開くことはありません。国内のバンカーは国内のみに、口座開設することができます。
以前、本店の口座で問題があった場合、国内バンカーは手助けすらしてくれなかったという話を聞いたことがあります。しかし、これは当然です。秘匿性の面から本店口座の情報を他の国の人が見ることはできません。
③は最も危険と思われるケースです。それに比べると④は相手が日本にいる分だけ安心です。
④の仲介業者やコンサルタントが何らかの金融業法に登録していたり、⑤の場合はより安心できると考えられます。