資産運用を一任する場合は、預かり資産の約1.5%
プライベートバンクを利用するにあたっての費用は、いくつかの種類があります。
「アカウントメンテナンス・フィー」は、口座を持つために必要な費用ですが、年間数万円程度であり、資産家にとってはほとんど気にする必要はないでしょう。
メインになるのは、「アセットマネジメント・フィー」です。これは、一任勘定で資産の運用を任せる場合に必要な費用で、預かり資産のおおよそ1.5%程度の料率です。
一方、一任勘定にしない場合は、次のような費用がかかります。
「カストディ・フィー」は、プライベートバンクを資産運用のプラットフォームとして利用し、証券や債券等を預ける際の保管料です。こちらは預入資産に対して年0.2%から0.3%の料率が一般的です。
「アドバイザリー・フィー」は、必要に応じて個別に相談したりアドバイスを受けるための費用で、料率は預入資産に対して年0.6%から1%程度です。
さらに一任勘定にしない場合は、「トランザクション・フィー」も必要になります。これは顧客側から株式等の売買を依頼した場合の手数料で、1件につきいくらと決まっています。一任勘定の場合、基本的に「トランザクション・フィー」も含まれますが、顧客側からの指示で売買するケースもあり、そういう場合には別途必要になることが多いようです。
コストの透明性が高いプライベートバンク
実際には、どのサービスを利用するかによってトータルのコストは変わってきます。
例えば、あとで触れるファミリーオフィスを一族で持っているようなスーパー富裕層の顧客の場合は一任勘定にせず、証券や債券等の保護預かりサービス(カストディサービス)のみを利用することが多く、かかるのは「カストディ・フィー」だけです(スーパー富裕層は自分たちで運用者を雇用しています)。
資産運用にあたって各種アドバイスも欲しいという場合は、さらに「アドバイザリー・フィー」や「トランザクション・フィー」が発生します。
日本人の資産家の場合は、基本的に一任勘定を利用することが多いようです。一つには、金融リテラシーがあまりないことが理由と思われます。一任勘定の場合は、「アセットマネジメント・フィー」がかかることになります。
これらの費用の合計は必ずしも安いとは言えません。しかし、日本の金融機関のようにどれくらいの手数料を得ているのかが顧客にわからないといったことはありません。
最近は、投資信託やファンドの運用会社からのバックマージンをすべて顧客に明示し、かつそれを顧客に全額戻す方針のプライベートバンクもあります(一般的には初めからファンドなどの運用管理料等を割り引いて料金がチャージされます)。
コストの透明性という点も、本場のプライベートバンクの大きな特徴といっていいでしょう。