前回は、伝統的プライベートバンクと「接点」を持つ方法を取り上げました。今回は、 口座開設の視点から、世界各国のプライベートバンクの特色とその国の事情等を見ていきます。

注目を集めるもハイリスクな中東、自由度が低い米国

新たな国際金融センターとして注目されているのが、アラブ首長国連邦の首都・ドバイです。「中東のシンガポール」とも呼ばれ税制面でのメリットが大きく見えますが、金融市場としての歴史が浅く、哲学を持ったプライベートバンクは皆無です。また金融の人材の厚みもありません。

 

アラブ首長国連邦はOECDの金融情報交換ネットワークには参加していないという面はありますが、リスクは高いといっていいでしょう。また、最近は銀行口座開設も難しくなっていると言われています。

 

米国はどうでしょう。日本の富裕層の中には、米国の株式や債券、不動産に投資している人も多いのではないでしょうか。

 

米国はシンガポール同様、SECが大きな権限を持って金融行政をコントロールしています。結果として、米国の機関は日本やシンガポールと同様、あまり自由度がありません。

 

個人的に仲の良い金融機関にいろいろ聞いてみましたが、結論は「使いづらい」になりました。

 

さらにやっかいなのは、アメリカ国内に資産を持っていると、ヨーロッパなどの金融機関と取引する際に大量の書類の提出を求められることです。プライベートバンクでもそうです。スイスなどの伝統的プライベートバンクに口座を開こうとする場合、米国に資産を持っているというだけで多くの追加資料を求められたり、敬遠されるケースがあります。米国人であれば、まず口座開設は不可能です。

スイス、リヒテンシュタイン、オーストリア・・・

いまや世界の富裕層の金融市場は「米国」と「米国以外」に分裂しつつあります。米国は自国独自のルールや政策判断で金融政策を進めており、OECDの金融情報交換のネットワークにも参加していません。

 

以上のような点から、プライベートバンクと取引するのであれば、スイスやリヒテンシュタイン、オーストリアなどに口座を開くのがよいと考えています。

 

次に、どの伝統的なプライベートバンクに口座を開くのが良いかですが、これは顧客個人個人によって相性があると思います。専門家に相談しながら、複数のプライベートバンクから選ぶことをおすすめします。 

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