プライベートバンクとのコンタクトは「紹介」から
それでは、プライベートバンクに口座を開くためには具体的にどのようなステップを踏むのか、またプライベートバンクではどのような形で資産運用が行われるのかを見ていきましょう。
1.プライベートバンクとコンタクトをとる
伝統的プライベートバンクと初めて連絡をとる一般的な方法は紹介です。すでにプライベートバンクの顧客となっている人からの紹介もあれば、関係者からの紹介もあります。多くはありませんがプライベートバンクへの紹介をビジネスとしているコンサルタントもいます。まれに、プライベートバンカーが本国から来日しセミナー等を開催している時に知り合って付き合いが始まることもあります。
いずれの紹介者も本来、プライベートバンクと口座開設希望者を引き合わせるだけでなく、プライベートバンクに対しては一種の身元引受人となる存在です。紹介者が信頼できる相手かどうかは必ず確認してください。
2.事前審査を受ける
プライベートバンクでは口座開設にあたり、あなたの資産状況、資産形成の過程、家族構成、将来の計画や心配事を確認します。
資産形成の過程では、マネーロンダリングに関係した資金ではないかということを特に気にしています。また、家族構成を確認するのは万が一、相続が発生した場合に口座を誰が引き継ぐのかを明らかにしておくためです。
各プライベートバンクで書式などは異なりますが、電子メールや電話、手紙でこうした点について質問してきますので、正直に伝えましょう。
経営者や頭取と面談後、口座番号を取得
3.面談を行う
事前審査と前後して面談を行います。初回は経営者や頭取が出てきて、銀行の経営哲学や歴史を説明してくれることも珍しくありません。
この時はまだ個別の商品の話はなく、ポートフォリオやアセットアロケーションの話もありません。まずは基本的な運用方針の確認(含むリスク許容度の確認)等を通じて、お互いのことをよく知るための時期となっています。プライベートバンクは、顧客のことをよく知ろうとします。それは、個々の顧客に合ったサービスを行うためです。
4.口座番号をもらう
プライベートバンクによって異なりますが、面談と並行して多くの書類に個人情報を含む情報を記入し、いくつかの宣誓書にサインします。それらの書類作業が終わった後に口座番号を連絡してもらいます。
なお、スイスのプライベートバンクといえば以前、「ナンバー・アカウント」が有名でした。口座には名義人の名前がなく、番号だけで管理されるため、秘匿性が高いとされたものです。しかし、非居住者の口座情報が国際的に自動交換されるようになることから、いまではスイスのプライベートバンクも「ナンバー・アカウント」の開設は行わないようです。
5.資金を振り込む
担当者からの指示に従って、自分の口座に資金を入れます。
以前は日本から入金する場合、「ナンバー・アカウント」の場合は、プライベートバンクの役員や担当者宛に送金する方法を取りましたが、前述のようにいまはそのようなことはありません。