今回は、コスト面から「規模の小さい」高齢者住宅の課題を見ていきます。※本連載では、介護ビジネスや高齢者住宅の経営コンサルティングも行う社会福祉士、介護支援専門員の濱田孝一氏の著書『「老人ホーム大倒産時代」の備え方』(扶桑社)から一部を抜粋し、介護生活に備えた、高齢者住宅の選び方を具体的にレクチャーしていきます。

高齢者住宅には「適切な規模」がある

前回の続きです。

 

もう一つ、理解しておくべきことは、「コスト」という面で考えると、要介護高齢者を対象とした高齢者住宅には、適切な規模があるということです。

 

一軒一軒、離れた自宅を回るよりも高齢者住宅で要介護高齢者が集まって生活すれば、1人の介護スタッフが効率的、効果的にサービスを提供することができると述べました。その効率性は、同じ介護付有料老人ホームでも、定員数によって変わってきます。

 

60人定員の建物での必要なスタッフ数と、30人定員の建物での必要なスタッフ数を比べると、そのまま半分になるわけではありません。図表のように、60人定員では3人の夜勤スタッフで対応しているものが、「30人×2ヵ所」となると、それぞれ2人の夜勤で合計4人。管理者や相談員なども、それぞれひとりずつですから、コストは2倍になります。

 

[図表] 規模が小さくなれば、運営・建築コストが高くなる

 

小規模でも優良な高齢者住宅はたくさんあるが…

実際の介護スタッフの動きを計算すると、同程度の内容・量の介護サービスを提供するには、60人定員と30人定員では、対入居者比率で1.5倍程度、必要スタッフ数に違いがでることがわかっています。また、それは人員配置だけでなく、1人当たりの厨房や相談室などの共用部のコストも増大します。

 

もちろん、「小規模の高齢者住宅はダメだ」ということではありません。

 

少ない定員数で、家庭的な雰囲気のもとで提供されている優良な高齢者住宅もたくさんあります。

 

ただ、介護の効率性やコストという面から考えると、小規模定員は運営・建築コストが高くなるということだけは、理解しておいたほうがいいでしょう。

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    本連載は、2017年6月10日刊行の書籍『「老人ホーム大倒産時代」の備え方』(扶桑社)から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    「老人ホーム大倒産時代」 の備え方

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    濱田 孝一

    扶桑社

    老人ホーム・高齢者住宅の倒産件数が過去最悪を更新し続ける昨今、どのような視点で入居施設を選ぶべきなのか? 幸せな老後を送るために必ず知っておくべき基本をイチから丁寧に解説。介護業界のプロフェッショナルが明かす「60…

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