今回は、「建設業許可」「経営業務管理責任者」取得の条件について見ていきます。※本連載は、株式会社アイユートの代表取締役で、中小建設業専門の財務・原価コンサルタント、経済産業省後援ドリームゲート・アドバイザーも務める服部正雄氏の著書、『小さな建設業の脱! どんぶり勘定 事例でわかる「儲かる経営の仕組み」』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、建設業の生死を分ける「資金繰り」について解説します。

「建設業許可」を取得するための主な要件は4つ

建設業許可を取得しようとする際、多くの方が、一般建設業許可と知事許可が必要になるかと思います。その上で、29種類ある業種のうち、必要となる業種ごとに建設業許可を取らなければなりません。取得できる業種の数に制限はなく、要件さえ満たせば、複数の業種を取得することができます。

 

建設業許可を取得するための主な要件は、次の4つです。

 

①経営業務管理責任者ー経営業務管理責任者が役員として常勤でいるか。

 

②専任技術者ー業種ごとに定められた資格を所持しているか。10年以上、許可を受けようとする建設業種で勤務していたか。

 

③誠実性ー過去に法律違反などを犯していないか。

 

④財産的基礎ー銀行口座の残高が500万円以上あるか。

 

経営業務管理責任者になるためには、許可を受けようとする業種で、5年以上、経営業務管理責任者としての経験(もしくは同等以上の能力があること)が必要です。つまり、建設会社社員を経て独立した場合、建設業許可を取るための最も大きなハードルは、経営業務管理責任者の項目なのです。

 

自分自身が要件を満たしていない場合、要件を満たしている人を役員として自社に招へいするか、5年の期間が経過するまで許可取得を待つしかありません。

建設業の経験がないとなれない「経営業務管理責任者」

私の知る例でも、ある会社のやり手の工事部長が独立しましたが、当初は建設業許可がないため、許可の要らない小規模工事しか受注できませんでした。

 

また別の会社では、傾いた建設会社の経営権を異業種の社長が取得したのですが、建設業の経験がないため、経営業務管理責任者になれず、元役員を再び役員として雇用し、経営業務管理責任者に就任させました。

 

社長が急逝してご子息が跡を継がれた会社では、ご子息が修業中だったため、まだ役員にはしていませんでした。そこで、番頭的な立場であった役員が、経営業務管理責任者となりました。

 

このように、実際の経営者と経営業務管理責任者とが異なるケースが、往々にしてあります。建設業で独立・開業を目指す方、建設業のオーナー経営者になろうとされる方、後継者のご子息を役員にしていない経営者の方は、建設業許可の要件について、よく理解しておいてください。

小さな建設業の脱! どんぶり勘定 事例でわかる「儲かる経営の仕組み」

小さな建設業の脱! どんぶり勘定 事例でわかる「儲かる経営の仕組み」

服部 正雄

合同フォレスト

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