今回は、電力小売り全面自由化によって、電気料金が下がる以外にどんなメリットがあるのかを説明します。※本連載は、一般社団法人エネルギー情報センターの理事で、エネルギーとビジネスに関する執筆・講演活動なども行う江田健二氏の著書、『エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α』(エネルギーフォーラム)より一部を抜粋し、電力小売り全面自由化を活用し、黒字経営を実現する方法をQ&A方式で説明します。

環境に配慮する姿勢が示せるなど、企業のPRに利点も

Q:電気料金が安くなる以外に、どんなメリットがあるの?

 

A:電気使用状況の「見える化」や、「エコなエネルギー使用をPRできる」などのメリットがあります。

 

前回紹介したスマートメーターが導入されると、電気使用状況を時間帯ごと(30分ごと)に把握することができます。節電を徹底したい方は、スマートメーターの電気利用状況データを基に電気の無駄遣いがないかをチェックできます。スマートメーターの情報は、契約した電力会社の会員マイページなどで閲覧できます。

 

また、環境に配慮する経営方針をお持ちの皆さんは、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを積極的に利用している電力会社や料金プランを選ぶことができます。

 

新興の電力会社を中心に再生可能エネルギーをメインに販売している会社が数多く出てきています。こうした電力会社と契約し、積極的にPRすることで、再生可能エネルギーの普及を支援する会社というスタンスをアピールすることができます。

 

工場やビルを保有する企業にとって、自社が再生可能エネルギーで作った電気を利用しているということを、顧客やステークホルダー(利害関係者)にアピールすることは、電気料金を削減する以上のブランディング効果を生むでしょう。

電気料金の「地産地消」が地域の活性化につながる

また、「地産地消」というキーワードも重要視されています。地産地消とは、地元で生産されたものを地元で消費するという考え方です。

 

例えば、「群馬県の企業が地元(群馬県)の太陽光発電により作られた電気を使う」といった取り組みです。地元の電気を購入することのメリットは、その地域でのお金の循環を生み出せることです。

 

電気料金が地元の電力会社に支払われることで、地元への投資や雇用に使われます。つまり、地元経済の活性化につながります。

 

地域に根ざしたビジネスを行っている企業や地方公共団体では、このような「地産地消」の電気を利用することで、地元を大切にする、信頼できる企業だとアピールすることができるでしょう。

 

出典:「長期低炭素ビジョン小委員会」配布資料
https://www.env.go.jp/press/y0618-05/mat05_4.pdf
出典:「長期低炭素ビジョン小委員会」配布資料
https://www.env.go.jp/press/y0618-05/mat05_4.pdf
エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α

エネルギー自由化は「金のなる木」70の金言+α

江田 健二

エネルギーフォーラム

2016年4月から「電力小売り全面自由化」が始まり、にわかにクローズアップされた「電気料金」。 本書では、エネルギーのコスト削減方法、そして新規事業としてエネルギーの取り扱いを始めることについての素朴な疑問に答えて…

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