小さい病院ほど「医師の確保」が厳しい傾向に
前回の続きです。
では地域別ではなく、病床の規模別ではどうでしょうか。
●「増えた」と答えた割合
500床以上(133病院)……79.7%
400床台(83病院)……71.1%
300床台(106病院)……55.7%
200床台(87病院)……50.6%
100床台(181病院)……40.9%
100床未満(70病院)……27.1%
小規模なほど状況が厳しくなる傾向が鮮明です。しかも、500床以上と100床未満の格差は前回の調査から13ポイント拡大していて、規模が小さい病院ほど医師の確保に頭を悩ませていることがうかがえます。
民間病院が高額な報酬で募集するケースも・・・
病院の開設者別に状況を見ると、「国」が運営する病院(42病院)では71.4%が「増えた」と回答しましたが、「医療法人」(218病院)では47.7%にとどまっています。
こうした中で、少しでも医師を獲得しようと、民間病院が高額な報酬で募集をかけるケースもあります。中医協が2015年に実施した医療経済実態調査では、常勤医1人当たりの平均給料の年額は2015年度には「国立」が1425万3163円(前年比1.9%増)、「公立」が1494万182円(1.0%増)だったのに対し、「医療法人」は1544万4200円(2.1%減)と高額でした。
完全な売り手市場は看護師も同じです。入院患者を受け入れて算定する診療報酬には「人員配置基準」が定められており、看護師1人が受け持つ患者数によって点数が違います。かつては、看護師1人に対して患者が10人という「10対1」の病院が多く見られましたが、2006年の改正でそれより評価が高い「7対1」ができました。診療報酬の設定が高いこの点数を算定するために人員配置を多くしなければならないというのなら、なおさらです。