前回は、「専門分野」を明示している歯科医師を選ぶべき理由 について取り上げました。今回は、「信頼できる矯正歯科医」を見極めるポイントを説明します。

治療スタート前の「カウンセリング」も肝心

矯正歯科治療は、スタート前のカウンセリングも肝心であると私は思っています。

 

そして、「矯正歯科治療に興味がある」「歯並びを治したい」と考えているという人には、まず一度、歯科医院に行ってカウンセリングを受けてみることをおすすめします。その際は「どんな様子か、聞いてみる」くらいの気持ちで行っても大丈夫です。

 

逆にあまり気負わず、「カウンセリングをしたら、必ず治療を受けなくてはいけないのでは?」などとは考えないでほしいと思います。矯正歯科治療で得られる効果、治療にかかる期間や費用の予測など、いろいろな面で納得できてから初めて、実際に治療を受けるかどうか考えればいいのです。

 

矯正歯科治療を始める時に確認しておく必要があるのは、なぜ歯並びが悪くなったのか、その原因を明らかにする、ということです。もし、何らかの生活習慣によって歯並びが悪くなったのであれば、その生活習慣をやめない限り矯正歯科治療で歯並びを治しても、また生活習慣によって歯並びが悪くなるということを繰り返してしまうからです。

 

ちなみに、矯正歯科のクリニックを探す際、ネット検索で情報を集めてみるという人も多いかと思います。ここで注意したいのは「ネットの情報を鵜呑みにしない」ということです。

 

はなはだ残念なことなのですが、昨今の玉石混合のネット情報の例に漏れず、サクラを使って大げさな宣伝をしていたり、「早い、ラク、安い」などを売り文句に、矯正後に起こり得るトラブルのことをきちんと説明せず、安直に矯正歯科治療を始めさせようとしているようなところも存在します。矯正歯科は無料相談を行っているところも多いので、まずは電話で問い合わせてみるといいでしょう。

 

かかりつけの歯科医師がいる人ならば、その先生が矯正歯科専門医でなくとも、一度その先生に相談してみることをおすすめします。その歯科医院に矯正歯科専門医がいないならば、他のところの矯正歯科専門医を紹介してもらえるかどうか、かかりつけ医に聞いてみるという手もあります。

 

また、実際に矯正歯科治療を経験した人に尋ね、矯正歯科治療について情報をもらうことも有効だと思います。

要望をよく聞き、解決法を提案してくれる医師なら安心

矯正歯科治療のカウンセリングでは、どのような歯並びにしたいか、どの部分が最も気になっているか、どのような理由で「矯正歯科治療をしたい」と思ったかなどの問診が行われます。この時、なるべく具体的に説明するようにしましょう。聞いてもらえるかどうかも大事なポイントでしょう。

 

問診の最初は問診票に記入するところから始まると思いますが、問診票は「出っ歯を治したい」など、案外、ざっくりとした内容しか書き込めないものです。

 

医師が問診票のデータだけをもとに「こうしましょう」と話を進めるようであれば、その医師には少し注意したほうがいいかもしれません。問診票をもとに「どのへんの出っ張りがいちばん気になっていますか?」とか、「生活上で不便はありますか?」などとさらに詳しい話を知ろうとし、その上で「あなたの場合はこういう状態を目標に、このような方法を用いて治療するのが効果的だと思いますが、どうですか?」と提案してくれる医師のほうが安心できます。

 

私の場合は、何よりも「患者さんのためになる矯正歯科治療を行う」ということをモットーにしています。そのため、カウンセリングはできるだけ丁寧に行います。

 

カウンセリングでは患者さんの歯並びに関する要望や悩みなどを聞くほか、希望する期間や費用の範囲、仕事の都合、生活環境的な都合などを尋ねます。そしてそれらすべての状況を踏まえた上で、その患者さんにとってベストと思われる矯正歯科治療を提案します。その方法を用いることで得られるメリットはもちろん、もしデメリットになる部分が考えられれば、それについてもきちんと説明します。

 

治療で最も大切なのは、その患者さんにとって理想的な矯正歯科治療が実現することです。そのためには、患者さん自身が矯正歯科治療を行うかどうか、行うとしたらどのような治療をしていくのかなど、一段階ずつ充分に把握して納得できるように、患者さんと矯正歯科医がしっかり話し合って進めていくことが不可欠だと考えます。

 

矯正歯科治療については、費用や期間、普段の生活への影響などさまざまな不安や疑問があることだと思いますし、アフターケアも含めると、患者さんと矯正歯科医とは長いお付き合いになります。いったん矯正を始めてしまったら、転院したり、矯正歯科治療自体をやり直すことは容易ではありません。

 

ですから、もしカウンセリングをしてみて納得いかない部分があったり、コミュニケーションがうまくいかないと感じたりすることがあったら、遠慮なく「ノー」と断るほうが賢明でしょう。

 

きれいな歯並びを手に入れたいなら、まずは、納得がいくまで話し合うことができ、「信頼して口の中のことを任せられる」と思えるような矯正歯科医と出会うことを目指してほしいものです。

国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”

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宮島 悠旗

幻冬舎メディアコンサルティング

歯学博士であり、フリーランス矯正歯科専門医として活躍している宮島悠旗氏。両親ともに歯科医師という宮島氏にとって、口元のケアは当然のエチケットとして育てられてきたといいます。しかしながら世間を見渡せば、口元に気を…

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