虫歯や歯周病の原因菌が、思わぬ病気の原因に…
日頃の歯磨きや歯科医院での定期診断を怠るなど、口腔内のメンテナンスをおろそかにしていると、虫歯や歯周病になりやすくなります。それだけでもやっかいなことですが、さらに恐ろしいことに、虫歯や歯周病の原因菌が思わぬ大きな病気を引き起こすこともあり得るということが、最近の研究でいろいろとわかってきました。
たとえば歯周病の病原菌が血管を通じて心臓に運ばれることによって、心筋梗塞、心内膜炎などが誘発されると考えられ、歯周病患者が心疾患で死亡する率は、健康な人の2倍にもなるといわれています。
虫歯の原因となるミュータンス菌の一種に感染すると、腹痛や腸内出血などを繰り返す難病の潰瘍性大腸炎になるリスクが4倍以上になるということを、大阪大学、横浜市立大学、浜松医科大学などのチームが2012年3月26日付の英科学誌サイエンティフィック・スポーツ電子版に発表しました。
また、脳出血の危険性が高い特殊な虫歯菌を発見した大阪大学のチームが、同年の9月28日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版にて、この菌に感染すると脳出血のリスクが4倍にもなると発表しています。
そのほか、早産による重体胎児の発生が7倍になるといわれていたり、高齢者が虫歯の原因菌を含む唾液を睡眠中に誤嚥(ごえん)し、肺に侵入した菌が炎症を起こして肺炎を起こしたという報告もあります。
「予防対策」をしっかり行っていくことが重要
虫歯や歯周病の原因菌は身体のさまざまなところに悪影響を及ぼす恐れがあります。もちろん、虫歯や歯周病の病原菌に感染したからといって必ず病気になるということではありませんが、リスクは無いに越したことはありません。
リスクを無くしたいのなら、虫歯や歯周病にならないことが肝心です。そして、虫歯や歯周病にならないためには、「予防対策」をしっかり行っていくことが重要となってくるのです。