前回は、資金不足を回避するための「資金繰り表」の作成方法について取り上げました。今回は、金融機関から有利な条件を引き出すための、融資交渉の留意点について見ていきます。

金融機関を味方につければ様々なメリットが・・・

銀行をはじめとした金融機関との関係を良好に保つことも財務の重要な課題になります。

 

企業として活動している以上は、日々の運転資金や事業拡大時における設備投資資金など、不足している資金を調達する際に金融機関の協力を得なければならない場合が必ずあるでしょう。

 

そのようなとき、銀行が協力的な姿勢を示してくれるかどうかは、日頃のコミュニケーションの取り方で大きく変わってきます。

 

また、資金調達だけでなく、銀行は企業経営に役立つ様々な情報も提供してくれるはずです。とりわけ地元の地方銀行や信用金庫は、新たな取引先を紹介してくれることもあります。そのような観点からも銀行を味方につけておくのは望ましいのです。

提出文書に「政策キーワード」を盛り込む方法も

では、銀行とスムーズな関係を築くためには、自らの要望を受け入れてもらうためには、どのような点に注意が必要となるのでしょうか。

 

まず、金融機関は「組織」で動いています。担当者個人の裁量で全てを決められる訳ではなく、関係各者や支店長らが目を通す稟議書によって融資等の審査が行われる仕組みです。そこで、事業計画書など必要な文書・資料を提出する場合には、誰もが読みやすい形にまとめておくことが求められます。

 

また、特に政府系の金融機関は国の意向に沿った判断を下します。そのため、政府が政策的な観点から「資金を回したい」と考えている分野にかかわる事業であれば、融資が下りやすい傾向が見られます。そこで、もし可能であれば、銀行に提出する文書の中にも巧みに〝政策キーワード〞を盛り込むのも良い方法です。たとえば今(2016年8月)であれば、国は外国人旅行客の誘致に力を入れているので、「この事業はインバウンドの促進につながります」などといった内容を含ませておくわけです。

 

このようにプレゼンテーションに一工夫すると、融資を得られる可能性が大きく高まります。それから、複数の取引銀行がある場合には〝相見積もり〞も忘れないようにしましょう。

 

経営状態が良好な企業であれば銀行は積極的に融資を検討してくれるはずなので、通常の場合に比べてより有利な利率での資金調達が期待できるはずです。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

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