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売主が知り得る物件情報は全て開示する必要がある
前回から引き続き、ハワイ不動産の売買契約書を見ていきます。今回は、売主の情報開示義務と、この売買契約の中で最も重要な点の一つである室内点検に関して見ていきましょう。
⑬I-1:Seller’s Obligation to Disclose(売主による情報開示義務)
日本でも中古の売買時には、売主が知り得る当該物件の情報を開示しなければなりませんが、ハワイにおいてもそれは義務づけられています。こちらも「Seller’s Real Property Disclosure Statement」という定型フォーマットがハワイ州の不動産協会に用意されており、その内容に従って売主が自ら記入をする必要があります。
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もちろん、この開示内容に虚偽の記載をしてはいけません。しかし、売主は不動産や建築の専門家ではありません。そのため、万が一開示内容に不備があったとしても、売主に対して法的な責任を追及することはできません。ただし、この開示は法的に売主の義務となっていますので、提出をしないと賠償請求の対象となります。
買主は開示書を受領した後、受領書を売主側に発行する必要があります。また、内容を確認し、何らかの不備や懸念点があれば解約することも可能です。
買主側からの無条件解約を可能にする「J-1条項」
⑭J-1:General Inspection of Property Contingency(室内点検)
このJ-1という条項がハワイの売買契約書の中で最も重要な点といえるかもしれません。
売買契約書上には、いくつかの契約解除条項が存在していますが、いずれも解約するのにはもちろん正当な理由が規定されています。しかし、このJ-1条項に関しては、ある意味「無条件解約」が可能な条項である、とお考え頂いて良いかと思います。
物件に関してのあらゆる点について点検をすることができるので、極論すれば「思ったよりも景色が良くない」という理由でも解約できます。特に理由を伝える必要もなく、「J-1条項により解約します」という書面による通知を出せば解約ができてしまうのです。
このJ-1をクリアするかどうかが、売買契約が進むかどうかの大きなポイントとなります。そのため、売主側・買主側の双方のエージェントは当然として、売買の間に入るエスクローもここを注視しています。エスクローは、J-1のクリアを確認するまでは、必要書類の作成依頼を弁護士に出さないこともあります。書類作成の弁護士費用が無駄になってしまう可能性があるためです。
オファーを入れる段階で、「売買契約成立日から●日以内に室内点検を行う」という日数を設定しますが、売主側としてはこの日数を長く設定されると無条件解約期間がそれだけ長くなることを意味しますので、短く設定しようとカウンター・オファーを入れてきたりします。
アメリカは日本に比べて、Due Diligence(物件査定)が発達していると言われています。不動産の分野においてもHome Inspector(物件検査専門家)が多数存在しており、J-1における点検も、この専門家に依頼することをお勧めしています。専門家による点検後には、通常「Inspection Report」(点検報告書)があがってきますので、そこに記載されている内容で補修を必要とするものがあれば、そのレポートを添付して売主側に補修依頼を出します。
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通常の売買契約では、「As-Is Condition Addendum」(現状有姿引渡合意書)の締結を売主側から求められます。この書類を交わすことで、基本的には売主は現状のまま引き渡すことができる権利を持つことになりますので、仮に上記のように補修依頼を出したとしても、売主側は拒否することも可能です。ただし、拒否をすると買主側から解約される可能性が高まりますので、おかしなリクエストでなければ買主側からの補修リクエストには応じることが一般的かと思います。なお、この専門家報酬は、部屋の広さにもよりますが、200~1,000ドル程度となります。一般的に、この費用は不動産の所有権移転時の諸費用精算の一項目として処理します。
このJ-1条項は、取引の確実性を見極める重要な条項になります。『ハワイ不動産の「売買契約書」の見方①~物件情報等』でも触れましたが、購入時の支払い条件の中でも、中間金の支払いタイミングをこのJ-1と連動させるケースが多いと思います。「J-1をクリアした段階で中間金を支払う」というような形で記載することが多く、ここまでいければ取引はかなりの確率で進むと考えて良いと思います。
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