ワケアリ物件となる原因は「人間関係」!?
長年事業を営んでいると、複雑な人間関係が周囲に形成されていきます。従業員や取引先、金融機関などはもちろん、社会保険労務士(社労士)や税理士などさまざまな人たちとの付き合いが固定化され、新たな人たちと付き合う機会は減少します。
関係が固定化すると依頼する際にいちいち会社の事情を説明しなくても済むなど、ビジネス効率がアップします。きめ細やかな対応が期待できるのも固定化した関係がもたらす大きなメリットです。
長年事業を営めば、当然こうした関係が強固に構築されますが、これらがそのままついてまわるのが不動産の特徴です。そのため、いざ不動産を売ろうとすると、強固に構築された関係性が”しがらみ”となって複雑に絡み合い、「理由(ワケ)アリ」物件と化すことは決して少なくありません。
不動産を売却する際には、既存の関係を「一新」する
経営者が不動産の売却を考えるときは、経営全般もしくは一部の事業が不振にあるときが多いものです。
事業の採算性はさまざまな要因が複合的に絡み合い、長い時間を経て悪化していくものなので、原因を特定するのは困難です。ただ、人間関係は原因の一つとなりがちであり、付き合ってきた人たちが不振の一因であるケースは少なくありません。
たとえば手を抜くことを覚え、ぬるま湯状態で仕事をしている従業員も原因の一つです。そして、そんな従業員と馴れ合いの関係を築いている社会保険労務士、経営状態をチェックせず担保余力だけを見て資金融資を行う金融機関、赤字決算に危機感を示さない税理士・・・。
そんな人たちに囲まれたままでは「新たな事業」である不動産売却はうまくいきません。既存の関係者は事業の継続だけにメリットを感じる人たちなので、さまざまな機会を通じて反対意見を表明し、場合によっては売却を妨害します。
ですから、不動産を売却する際には既存の関係を一新する必要があります。ただでさえ不慣れな不動産売却に神経をすり減らしている経営者にとって、関係者による邪魔立ては大きな障害となります。マイナスの影響ばかりが大きい人たちなので、顔を合わせたり話をしたりする時間を設けることも無益です。
「金融機関や従業員の意見はシャットアウトする」「社労士や税理士の業務は新たな人に依頼する」など、いったんすべての関係をリセットした上で、新しい事業に適した人材を一から選ぶことが不動産売却を成功に導く秘訣になります。